■ 白鳥和生『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』
朝日新書 2025年

① なぜこの本を選んだのか?
「授業のヒントがたくさん書かれているに違いない」とタイトルを見て感じました。本書に書かれている素材を使って学習指導案をつくってみませんか? という最適な1冊になると思い選びました。

② どのような内容か?
1.白鳥和生先生について
 白鳥先生は、流通科学大学商学部経営学科教授です。研究者になる前は日本経済新聞社記者、デスクを担当していました。主な取材対象は小売、卸、外食、食品メーカー、流通政策だったそうです。著書に『不況に強いビジネスは北海道の「小売」に学べ』(プレジデント社)があります。

2.授業づくりに役立つ一冊
 いつもとは異なる方法で紹介したいと思います。紹介者は、本書を読み終えた瞬間、問題を作成してみたくなりました。もしかしたら全国の先生方にとって、この問題のどれかが、授業創りに活かせるのではないかと思ったのです。
 選択問題や空欄補充などいろいろありますが、まずは問題を眺めてみてください。そしていくつか解いてみてください。
 一冊の新書から授業を創ることができるのではないかと感じさせる一冊です。それでは問題のスタートです。

3.この本から次のような問題を作ってみました
 問1 スーパーマーケットにとって全国をカバーすることが難しい理由は何でしょう?
 問2 どうして多くのスーパーは入り口付近に青果売り場を配置するのでしょうか?
 問3 スーパーの来店客は正面ではなく、やや上に目を向けながら売り場を見ている。本当でしょうか? ウソでしょうか?
 問4 スーパーはスムーズに来店客を誘導するために、各売り場にマグネットと呼ばれるものを4カ所に配置しています。どのような場所だと思いますか? そしてそこにはどのような商品が並べられていると思いますか?
 問5 食品売上げランキングです。次の3つを第1位から第3位まで並べ直してください。(ア)「ノンアルコール飲料」 (イ)「冷凍食品」 (ウ)「惣菜・弁当」
 問6 『失われた30年』の間もスーパーマーケットは順調に成長した。これは本当でしょうか? それともウソでしょうか?
 問7 2005年以降、日本のエンゲル係数は上昇傾向にありますか?それとも下降傾向にありますか?
 問8 日本人のタンパク源は(1)から(2)にシフトしています。それぞれのカッコに「魚」「鶏肉」のどちらかを入れてください。
問9 魚を頻繁に食べる国はどこでしょう? 上位3カ国をあげてみてください。日本は入っていません。
 問10 日本のスーパーマーケットでは「セルフレジ」が広がりつつあります。そこで問題です。もう一つ広がりをみせているレジがあります。それは何レジでしょうか。「○○○レジ」です。
 問11  次の空欄に入るのは何でしょう。選択肢から選んでください。「高所得層は(   )をよく買います。低所得層は(   )をよく買います。
 選択肢:「パスタ」、「うどん・そば」 選択したら、その理由も考えてみてください。
 問12 スーパーのライバルにドラッグストアがあります。ドラッグストアの食料品はものすごく価格を安く設定しています。なぜ安い価格設定が可能なのでしょうか? 理由を考えてみてください。
 問13 スーパーマーケットを訪れる(  )割の顧客が来店前に予定していなかった商品を購入しているそうです。さて、何割でしょうか?
 問14 100品目中の48%の商品を安くしたら、ほぼ100%の顧客が安いと感じるそうです。それでは100品目中の何%の商品を安くしたら、85%の顧客が安いと感じるでしょうか。思いついた数値を挙げてみてください。
 問15 セブン&アイホールディングス会長だった鈴木敏文氏は「小売業は(  )学」だと言ったそうです。ここまでの問題を解いていると「その通りだ」と納得します。さて、何学でしょうか?
 問16 地政学に関連する問題です。ウクライナが輸出世界一であるのは(  )油です。さて何でしょう。
 問17  みんな大好きな半額シール。多くのスーパーではこの半額シールを貼るタイミングをどのように決めていると思いますか?  

 答えは全て本書に書いてあります。
 どうでしょうか。授業に活かすことができるでしょうか?
 皆様のご意見や感想を聞かせてください。

4.本書の全体像
 最後に目次を示して全体像を眺めることにします。
 第1章 なぜ野菜売り場は入り口にあるのか? 
 第2章「日本人の○○離れ」は本当に起きている?
 第3章 ドラッグストアの食品が安い理由は? 
 第4章 どうして余計なものまで買ってしまうのか? 
 第5章 食の「買い負け」が安全保障リスクに? 
 第6章 AI導入で「半額シール」が消える? 

③ どこが役に立つのか?
 教師も生徒も利用しているスーパーマーケットの秘密をたくさん知ることができます。ここでの話題は、授業づくりの材料でいっぱいです。読み進めるごとに「あー、そういうこと・・・」と思わず納得してしまいます。今月紹介しましたもう一冊の『新書世界現代史』と同じくジャーナリストが書いた文章は、読者を引き込んでいきます。まるごと授業に役立つ一冊だと思います。

④ 感 想
 スーパーマーケットの陳列の順番には、ものすごく深い意味があることを知ることができました。本書には書かれていませんが、まだまだスーパーには、私たちが知らない秘密がありそうです。教師の、そして生徒の探究心を刺激する一冊に出会うことができました。
                                      (金子幹夫)

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