①どんな本か
・2013年に出された同名の第四版の本の改訂版です。メルマガ2020年5月号で紹介した同じ著者たちの『世界経済図説』の姉妹本でもあります。
・見開き2ページで、片方に解説、もう片方に図やグラフを掲載しています。
・第四版は10章構成でしたが、第五版では「情報通信の発展と情報化社会」が加えられ11章構成になっています。


②役立つところ
・『国勢図会』などとおなじように、図版の部分をそのまま使うことができます。また、解説のページをざっとよんで、日本経済の現状を頭のなかにいれて、自分なりの見取り図をつくることもできます。
・特に、第五版で付け加えられた部分を、第四版と比較して、著者が何を問題としてとらえ、どうそれを評価しているのかを見てゆくと、第二次安倍内閣でのいわゆるアベノミクスの期間の変貌と現代の課題が浮かび上がります。
・MMTやフィンテックなども扱われているので、新しい動向もキャッチできます。


③感想
・解説部分はそのテーマで小論文を書いたらこんな書きぶりになるのだろうな、模範答案だなとの印象を持ちました。では、自分ならどんな答案を書くか、そんな読み方をしても良い本です。
・半世紀以上前、中学三年の時に、同じ新書の『日本経済図説』を担当の先生が使って授業をしていたことを思い出しました。当時の授業の内容は全く忘れていますが、この本とそれを使っていた先生だけは印象が残っています。
・この種の新書を教室に持ち込んで教えるということが考えられない時代になったのだなあと変なところで思い出にひたりました。

(経済教育ネットワーク  新井 明)

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