執筆者 新井明

 NIEというのをご存じでしょうか。Newspaper in Education の略で、「教育に新聞を」という教育運動です。新学習指導要領で新聞の活用が書き込まれたために、注目されている動きです。各新聞社も熱心に支援をして、全国研究大会も開催されています。ネットワークでも、読売新聞と共同の教材作りのお手伝いをはじめています。

 新聞を読むというのは、私たちの世代では当たり前のことですが、現在の生徒たちではそれほど当たり前になっていません。インターネットの普及により家庭で新聞を購読しないケースがだんだん目立ってきています。私の学校でも、1割程度はそのような家庭があります。大学生の購読率は7割を切っているというのが実感です。下宿生はほぼ全滅かもしれません。

 新聞をいかに教材化するかに関しては、NIEの中でたくさん紹介されています。私(新井)の場合は、単純で、毎時間授業の本論の前に、「新聞スピーチ」をさせています。新聞の記事(例えば朝刊の1面の記事」を紹介し、自分の感想を述べると言うものです。紹介する記事を特に縛らなければ、中学公民や、「現代社会」で使えるし、一面縛りにしておくと「政治・経済」の授業に使える方法です。新聞を購読していない生徒には、学校の図書館で読んで、それを紹介しなさいという指示を出します。

 「新聞スピーチ」では、世の中様々な動きが、教室で学んでいる知識とリンクしていることが実感できればよいくらいの気持ちで継続するとよいと思います。生徒は、仲間がどんな記事を持ってきて、どんな感想を言うか意外と興味をもって聞いています。だから、通り一遍の発表だと、教員が指摘する前に教室に弛緩した空気が流れます。「新聞スピーチ」を通して、新聞と友達になれれば大成功です。

 なお、私はスピーチ用の原稿(3分用で600字程度)を書かせること、定期考査にスピーチで取り上げられた時事問題に関する確認テストを入れて、やりっぱなしにしないようにしています。そんなちょっとした工夫もされるとよいと思います。

(メルマガ 34号から転載)

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