①どんな本か
・雑誌『経済セミナー』の増刊本で、コロナ禍に対して、経済学がどのように対応しているか、どのような貢献をしているかをまとめた本です。

②どんな内容か
・全体は4つのパートに分かれています。
・パート1は、「経済学はパンデミックにどう対峙するか」というタイトルで、経済学者と公衆衛生学者の対談、感染症対策と経済活動の両立を分析するモデルをたちあげた二人の経済学者へのインタビューが掲載されています。
・パート2は、「感染症対策の経済学」のタイトルで、3人の経済学者による、それぞれSIRというマクロモデル、感染症疫学、行動経済学の論文が掲載されています。
・続く、パート3では、「新型コロナ危機が経済に及ぼす影響」というタイトルで、消費、労働市場、テレワーク、格差、教育、感染状況への認識、企業ダイナミクス、医療体制の現状分析の8本の論文が掲載されています。
・最後のパート4では、「新型コロナへの政策対応と評価」というタイトルで、先進各国、財政政策、労働者への支援策、特別定額給付金、小規模企業への支援策の各対応とその評価の5本の論文が掲載されています。

③どんなところが役立つか
・新規感染人数○○人、大変だ、緊急事態宣言、じゃあ動けない困った、などコロナに対しては目の前の情報に反応しがちですが、経済学者がこんな広範囲にコロナに向き合っていることを知るだけでも、経済学に対する信頼感が生まれる本です。
・ナッジの効果、ビッグデータによる生活様式の変化を取り上げた論考では、「へーそうなんだ」という事実が紹介されています。授業のネタに役立つ情報でしょう。

④感想
・活字が小さく、数式やグラフなども登場して正直かなり、読むのに躊躇するところもありましたが、それを超えると、役立ちそうだという部分がうかびあがってきました。
・北海道の山﨑辰也先生(北見北斗高校)は、いろいろなヒントが浮かび上がる面白い本と評価していました。ちょっと専門的ですが、夏休みなら手に取ってみる余裕もあるのではないでしょうか。

(経済教育ネットワーク  新井 明)

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