①どんな本か
・一冊ではなく、シリーズを紹介します。
・ご存じ、放送大学のテキストです。ネットワークでは、西村理先生が『経済学入門』、野間敏克先生が『金融と社会』を書かれています。
・放送大学の講義のための紙ベースの教材(印刷教材)です。

②どんな内容か
・それぞれの科目の講義内容(15回分)がコンパクトにまとめられていて、その分野のアウトラインを知ることができます。

③どんなところが役立つか
・授業準備のために、大学レベルの内容を確認したいときに手もとにあると便利です。特に、自分の専攻でない隣接分野に関して教えなければいけくなった場合、どこをどう切り込んだら良いかの手がかりがえらます。
・公民分野は、政治学、法学、社会学、哲学、倫理学など幅広く教えなければいけないし、学校によっては、日本史や世界史、地理まで教えなければいけなくなりますが、そんな時に、大学レベルの標準的な内容を押さえる場合に力を発揮します。

④感想
・これを紹介するきっかけは二つありました。
・一つは、株式会社の説明をした時に、出島とオランダ東インド会社の関係に触れました。説明をしているなかで、そういえば東インド会社は1799年に解散しているけれど、その後の出島貿易はだれが担ったのかということをふと思い、いろいろ調べようとしたのですが、そんなトリビアルな疑問は、分からないと言う答えでした。
・それが、昔の放送大学のテキスト(金井圓『近世日本とオランダ』)にあったのです。このテキストから、長崎貿易を巡るいろいろ興味深い事実もわかりました。
・もう一つは、第一次世界大戦からその後の日本の貿易収支のグラフに関する質問を寄せられて、その回答に一番役立ったのが、やはり放送大学のテキストを書籍化した本(三和良一『概説日本経済史近現代』)だったことです。
・歴史関係は、最近特にちょっとどうかなと思うようなおもしろ本がでていて、それをもとに授業をするような実践例などもありますが、歴史だけでなく、やはりきちんとした学問ベースを押さえた授業を行うためにも、放送大学のテキストは有効かと思います。
・全く違うジャンルに挑戦するときにも、よい羅針盤役を果たしてくれるでしょう。
・難点をあげれば、ちょっと高価なこと。でも、そのくらいの投資は授業のために必要か。夏休みに一冊手に取ってみませんか。

(経済教育ネットワーク 新井 明)

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