執筆者 新井明

 アクティブラーニングに注目が集まっています。いろいろな方法がありますが、今回はその中の「知識構成型ジグソー法」という方法を紹介します。
 ジグソー法の学習は、6月の東京部会で実践報告をした渡辺力樹先生(愛知県立南陽高校)の実践でも使われていました。グループ学習の方式です。
 この知識構成型ジグソー法は、当初のアメリカの心理学者アロンソンが開発したものが、人種の融合を主な目的として構成されていたのに対して、グループ学習を通して深い学びをするために、東京大学の「大学発教育支援コンソーシアム(CoREF)」が開発したものです。
 その方法は、次のようになっています。

 まず、あるテーマに関して、3~4の主題をそれぞれ複数の生徒がグループに分かれて与えられた主題に関して学びあいます。これを<エキスパート活動>と言います。
 次は、それぞれの課題を学んだ生徒が一人ずつ集まりジグソーグループをつくります。これが<ジグソー活動>です。
 最後は、テーマに関してこれまでに学んだこと、考えたことなどを教室の全員の前で発表します。これが<クロストーク活動>です。
 この三つの段階を総称したものが、知識構成型のジグソー法となります。

 筆者は、大学の非常勤の講義(14名対象)のなかで安楽死(尊厳死)をジグソー法で実施してみました。学生は当初は戸惑っていたようですが、手順がわかるとそれぞれの主題に応じて調べ、話し合い、それを次のジグソー活動に持ち込み、再び話し合いを行い、クロストークまでたどり着きました。
 実は、ジグソー法、10数年前に進学校で実施したことがあったのですが、この時はフリーライダーの生徒がでて、ジグソー活動の段階で崩壊してしまい、ジグソー法にはあまりいいイメージがありませんでした。しかし、テーマと場所、生徒の状況によっては、かなりうまくゆくという確信を持つことができました。
 この知識構成型ジグゾー法、埼玉県の初任者研修では新任教員全員にやらせているという話も聞きました。
 次期の学習指導要領で登場が決まっている「公共」の授業は、2単位で相当多くの学習内容が想定されています。その時に活躍しそうなのが、この知識構成型のジグソー法になりそうな予感がします。

 ただし、難点は、時間がかかること、生徒の取り組みのモラル維持ができるかどうかです。また、どんな調査主題を提示できるかにも左右されます。
 とはいえ、やってみなければはじまりません。さしあたり、テーマ学習に取り組む際に、まずは試してみませんか。
 なお、知識構成型のジグソー法に関しては、東京大学CoREFの『協調学習 授業デザインハンドブック 第2版』が以下のページにアップされているので、その原理、実践例をダウンロードして、読むことができます。
 http://coref.u-tokyo.ac.jp/archives/16634

(メルマガ 103号から転載)

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