執筆者 新井明
ディベートは日本の教室でもかなり普及をしていますが、今回は、アメリカ発のディベート授業の紹介です。
ネットワークの宮尾尊弘先生(筑波大学名誉教授)は、現在、アメリカの南カリフォルニア大学で教鞭をとられています。そのクラスで実施したディベートをもとに『ディベートの手引き:クラスでディベートを行う方法』をYou Tubeにアップしました。
https://youtu.be/4V9tlXwtypo
このディベート授業は、昨年東京での「冬の経済教室」で宮尾先生が提案された、イシューを中心とする経済授業の一環として実施されています。
宮尾先生のディベートは5つのステップで進行します。
<ステップ1>は、イシューの設定とサイド分けです。このテーマでいえば、経済発展に人口が多い方がよいという主張をサイドA、逆に人口は少ない方がよいという主張をサイドBが行っています。
<ステップ2>は、それぞれのサイドの二人がプレゼンを行います。
<ステップ3>は、質問と応答(リバタル)の時間です。サイドAが質問しサイドBが答える、逆にサイドBが質問しサイドAが答えるという応答を行います。
<ステップ4>は、オープンディスカッションで、教室内のだれもが自由に質問できる時間です。
<ステップ5>で、全員による審判(どちらが勝ったか)と優れたディベーターの選出、自分の意見はどうなのかを書いて提出します。
このディベートテーマとなった「人口と経済発展」については、週3回あるの授業のなかで取り上げたそうです。まず、第1回は人口問題の基礎知識について予めウェブにアップした講義ビデオを見てきた上でクラスで議論し、イシューをよく理解させる。第2回にビデオにあるようなディベートを行い、さらにしめくくりの第3回でさらに人口と経済の関係を勉強させてからこの問題についてのテストするという順番で行ったとのことです。
アメリカの大学の授業の進め方は、日本とは異なっている点もありますが、イシューとディベートと講義を組み合わせた経済の授業の進め方は、これからの私たちの授業にヒントになると思います。
宮尾先生は、欧米の民主主義で司法が独立した国の活動になっているのに対して、日本などでは司法が行政や立法に従属しがちなのは、ディベートの重要性が真に理解されていないからとの指摘もされて、ディベートの意義を力説されています。
宮尾先生自らがかかれたイラストと解説でディベート授業の進め方がわかるこのビデオ、ぜひ参考にされるとよいと思います。
(メルマガ 93号から転載)
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