執筆者 新井明

 混沌とした世界を整理する方法です。
 二つの問いを用意して、生徒に選ばせて、自分が選んだ世界を考察させると言う授業です。

 経済でいえば、「あなたは自由をもとめますか。それとも平等をもとめますか。」という問いと、「みんながばらばら勝手に活動する世界と、だれかの指令できっちり活動する世界とどちらがよいですか。」という問いを選ばせると
 四つの経済世界が描けます。座標の形で書けば、第一象限(自由・勝手)は市場経済、第二象限(自由・指令)は混合経済、第三象限(平等・指令)は社会主義経済、第四象限(平等・勝手)は社会主義市場経済となります。
 これは理念型ですから、現実の経済社会がどこに位置するかをさらに考えさせてみると、例えば、社会主義市場経済を標榜する中国経済が、実態としては市場経済になっていることや、米英の経済とヨーロッパの経済が異なる場所にいることなどが浮かび上がります。

 こんな単純に世界を分けてよいのか、二項対立で分類してもよいのかなどの批判はあるでしょうが、分類して世界をとらえる方法を教えておくことで、様々な応用が可能になるはずです。
 ちなみに、「現代社会」や「倫理」の青年期で登場することもある、心の四つの窓(ジョハリの窓)も二つの問い(知っている自分、他人から見た自分)からこころの分類をしたものです。
 先生方も、二つの問いをたくさん作って、試してみたらいかがでしょうか。

(メルマガ 76号から転載)

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