執筆者 新井明

これから中間考査の準備をする先生方も多いことだろうと思います。今回はテストに関する話題をいくつか提供してみます。

 一つは、事前に問題をかなり予告しておくことです。
 特に、これは最初のテストでは有効です。先生はどんな形式で出題するのか、穴埋めなのか説明方式なのか、記号問題はでるのか、生徒の関心はそういう形式にまず集中します。その疑問や不安を最初にといておくことは結構重要なことです。

 二つ目は、暗記項目と考える項目を分けて事前に予告しておくことです。
 社会科、公民科に対して、生徒は所詮は暗記だと考え対応することが往々にあります。私たち教員はそうじゃないんだ理解だと力説しますが、考えるためにも知識の定着を見ておく必要があります。生徒が暗記だというのであれば、暗記をさせるという逆転の発想も良しではないでしょうか。ここは知っておかなければ話にならないよということで暗記項目を示して、頑張らせるのも効果的です。暗記部分はできるだけ時間をかけずに採点できるように記号式でも、用語を書かせる方式でもとにかく単純につくることを勧めます。

 三つ目は、考えさせる問題、書かせる問題は事前に提示しておくことです。
 出題者からいえばここが本命なのですが、生徒から言えば一番嫌な箇所になります。それを積極的に取り組ませるには、場合によっては事前に問題候補をあげておき、準備をさせてのぞませることもありです。授業でここは考えろよ、といった箇所をそのまま出しても可です。ただし、この部分の得点は全体の2割くらいにしておくとよいでしょう。

 最近の学校は忙しい。だから、できるだけ最小のコストで最大の効果があがるようにしたいものです。そのためには、作成者が楽しんで作ることです。こんなテスト問題ありなのと、生徒が喜ぶような問題はうんうんうなって作ったテストからはでてこないと思います。

 お前のテストはどうなのかと詰問されそうですが、ひとつだけ事例をあげておきます。ホッブズの『リヴァイアサン』の表紙絵を読み解かせた問題の最後に、現在の日本をホッブズ流に絵解きしたらどうなるかという問題を出しました。生徒はいろいろなイラストを書きました。生徒がどのくらい社会契約説を理解したか、また日本の政治にどのように興味関心をもっているかが一目瞭然になりました。

(メルマガ 64号から転載)

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