執筆者 新井明

 夏の経済教室で、岐阜大学の大杉先生がトゥールミン図式を紹介していました。トゥールミン図式は、イギリスの科学哲学者トゥールミンによって提唱された分析や意思決定のプロセスを図式化したもので、データをもとに、主張を導き出すのに、理由付けと理由付けの裏づけ、さらには留保条件を付けて導き出すプロセスです。これは頭のなかでいろいろ考察したものを外にだすことで明確化してゆこうとする一つのやり方です。

 授業のなかで、価値判断や論争的テーマを扱うときに、このように図式やもっと簡単にした図式を使うことで判断のプロセスを外に出して検討することができます。

 トウールミンよりもっと簡単な方法に、シーナ・アイエンガーが『選択の科学』文藝春秋社、で紹介しているベンジャミン・フランクリンのものがああります。それによると、フランクリンは、難しい問題が起こったら「紙のまんなかに一本の線を引いて、上下二つにわけ、上半分に賛成の理由、下半分に反対の理由を書き出すとよい」と友人にアドバイスしているとのこと。こんな簡単な方法でも頭のなかでごちゃごちゃ考えているより、よほど問題が明確になり、その上で、書き出した内容を、理由を考えながら適否を判断してゆくことで問題に対する整理ができるでしょう。

 上下ではなく、ノートを左右にわけて賛否を考えさせた上で、問題の得失を書かせ、さらに問題を共有しながら深めるという方法などでもよいかもしれません。ちなみに、アイエンガーは、先日NHK教育テレビで放映された『コロンビア白熱教室』のインド系の盲目の社会心理学者で、彼女が作った選択日記というノートも発売されています。

(メルマガ 44号から転載)

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