執筆者 新井明

 文化祭は、特別活動に分類されますが、とりくみそのものは総合学習そのものです。内容も展示、演劇、クラブの発表など多彩ですが、クラス参加では苦労される先生も多いのではと思います。「めんどくさい」「わたしはやりたくない」などの声を抑えて何とか形を作るのが大変で、生徒の文化祭ではなく、先生の文化祭だという学校も無きにしも非ずでしょう。

 そういう生徒にやる気を出させるためには、モチベーションをあげることです。一番いいのは、模擬店をやらせてその収益を自分たちで分配させることですが、さすがにそれはできないでしょう。次は、収益を募金に回すことですが、その金額の多さで表彰するというのもいいかもしれません。でも、たぶんこれも無理かもしれません。学校によっては模擬店や食堂の数を制限しているところもありますから。これなら可能と思われるのは、お化け屋敷やゲームセンターのような企画で、学校内で通用する地域通貨を使わせてみることです。地域通貨のアイディアを模擬店まで広げてもよいかもしれません。よくコンテストの投票などをやりますが、その時に通貨の「売上高」なども表彰の対象にしてみるという手もあります。

 だめだめ尽くしの文化祭ですが、お金の管理を含めて教育のチャンスはたくさんあります。帳簿の付け方、売れ残った在庫の処理の仕方、会計監査などの指導を生徒係の先生にまかせるのではなく、授業のなかで一時間でも良いから時間をとり教えることができると生徒にとっても、勉強の成果が見える形で現れるはずです。

 アメリカでは「ミニソサイエティ」という教室を町に見立てた教材や、日本でもミュレーション教材は結構つくられています。それを考えるなら、文化祭のような体験的学習チャンスを生徒指導の観点からだけで終わらせて、消耗するのはもったいないと思いませんか。

(メルマガ 41号から転載)

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