執筆者 新井明

 教員志望の大学生向けの講義で授業案のレポートを提出させています。そこで多く登場するのが話し合いをさせるという活動です。しかし、そう簡単にクラスで話し合いができるわけではないから再考せよとコメントして返却します。教育実習生も話し合いをさせたがりますが、たいてうまくゆきません。同じような悩みを抱えている先生も多いかもしれません。そこで今回は、一番簡単な話し合いのやり方をヒントとして書きます。

 話し合いといっても中学、高校、大学ではずいぶん違います。小学校であれだけ「はい、はい」と手を上げ討論をしていた生徒がだんだん沈黙をはじめついには「貝のように」なります。それが成長ではあっても授業で沈黙をされたり「わかりません」の連続は教員としてはつらいものがあります。

 さて、その方法はいたって簡単。①二人一組にして、②時間を区切ってしゃべらせることです。③そのうえで発表させることです。

 例えば、貿易の変化のグラフを読ませるという課題があったとします。通常はひとりひとりをあてて何かわかることはないかと聞くのですが、二人一組にして例えば3分間という時間を与え、たくさん考えたものをメモさせて、あててゆく。時間は厳守します。そのため、ベルや砂時計など小道具を持ち込むのもよいかもしれません。このやり方は、多少時間はかかるけれど、生徒には息抜きにもなるし、公認のおしゃべり場にもなる。なにより当てられてできないときの恥ずかしさが大幅に減少できます。同じように、教科書の写真を読ませても良い。質問をもっと絞って考えさせてもよい。ハイパーインフレで貨幣をおもちゃにしている写真では、四角のはこのようなものは何だろうというヒントを与えながら話し合わせてもよしです。もちろん、じっくりディスカッションするテーマにはこの方法は適しません。でも、生徒の口を割らせるには、三つのポイントを押さえれば、何とかなるものです。先生方一度お試しあれ。

(メルマガ 38号から転載)

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