執筆者 新井明

 経済の授業で時事問題を扱うのは当然、何をいまさらと多くの先生方は思うでしょう。でも、景気や金融、貿易など経済のテーマを経済の授業で扱うのは当然ですが、選挙のような政治的時事問題を経済で扱うこともできます。

 一番簡単なのは、各政党の経済政策を比較させることです。これは新聞やネットで簡単に情報収集ができますので、おすすめです。今回の選挙で言えば、日銀法の改正、金融政策を巡る論戦、TPPなどは、格好の素材です。

 次は、選挙をするのにどのくらいの費用がかかるかを考えさせることです。この場合の費用は、当然二つあり、ひとつは実際にかかる費用です。看板代からはじまり、選挙管理のためにかかる費用を調べさせるのも生徒の関心をひくかもしれません。もう一つの費用は、政治的空白のコストです。参議院が補完することになっていますが、実質的にはこの間は政府が動きませんから、多大の機会費用(放棄費用)がかかっているはずです。この金額を推定することは生徒には難しすぎますが、表面的な動きの背景もしっかり見る必要ありと自覚させることはできます。

 三つ目は、かなり高度になりますが、選挙の経済学を紹介することです。今夏の経済教室で中川先生から紹介があったカプランの『選挙の経済学』までゆくと大学レベルの話になりますが、高校までであれば、投票率を高める経済的方法、インセンティブのあり方を考えさせることは十分可能です。

 はたして、今回の総選挙はどうなるか、模擬投票などをさせながら経済の観点で選挙をみるのもよしではないでしょうか。

(メルマガ 47号から転載)

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