①どんな本か
・日経新聞に2021年1月から連載された「逆境の資本主義」「コロナと資本主義」という特集のシリーズをもとに編集された本です。
・著名人のインタビューと解説をもとにした本なので、これも「サクッと分かる」本に分類される本になっています。

②どんな内容か
・全体は二部で、PART1は「逆境の資本主義」を、PART2は「コロナと資本主義」となっています。
・前半では、1さびつく成長の公式、2変質するくらし、3自由民主主義に試練の3章で、資本主義の停滞、デジタル化、証券市場の変質のタイトルで、現状の分析を扱い、関連したインタビューと各章末にnoteとして資本主義に関するイラスト入りの歴史を掲載しています。
・後半は、4パンデミック来襲、5再生への道の2章で、コロナ禍の企業、移民問題、政府の役割、所得保障を扱い、同じく関連のインタビューが掲載されています。

③どんなところが役立つか
・直接役立つというより、著名人のインタビュー35人分を読み、大きな意味での時代理解の手がかりを得るための本といえるでしょう。
・イラストの資本主義の歴史は、ざっくり理解するには手頃な内容。ただし、スミスの箇所など、スミスはこんな単純なことは言っていないよと突っ込みたくなるレベルであることは承知しておきたいところです。

④感想
・日経新聞が「資本主義」という用語を使い、その危機をテーマにするなんてと思ったので手に取りましたが、結果としては資本主義の進化を目指すという経済新聞ならではの結論の本でした。
・それでも、環境問題、格差、短期利益を目指す株主資本主義批判など、取組むべきテーマが浮かび上がる本にはなっています。
・気になった論者の本をさらに探して、本格的に資本主義の問題に挑戦して授業を組み立てる先生、出でよ!などと叫んだら時代錯誤か。

                                               (経済教育ネットワーク  新井 明)

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