執筆者 新井明

高等学校の先生方はノートの点検などはされていないでしょうが、中学校ではノート点検が日常的に行われています。これは、観点別評価のためだとおもわれます。

 社会科、公民科でノートの点検が必要かどうかは先生方の授業の進め方と関係があります。プリント授業中心の先生にとってはノート点検は意味がないでしょう。それに対して、板書を中心に授業を進めている先生方にとってはノート点検は、授業を生徒がどう受け止めているかのバロメータになります。

 点検の前に、そもそもノートをどう取るべきかを指示する必要があります。『東大合格生のノートは必ず美しい』という本がありました。そこには、文頭はそろえるとか、余白を大きくとる、フォーマットを決めて取るなどの法則が紹介されています。先生方も、生徒に同じようなノートの取り方を指示する必要があります。

 例えば、板書事項は見開きの左側を使い、右側はメモや課題、新聞の切り貼りやプリントを貼るなどの指示をだしておくなども一例です。

 その上で、生徒がどんなノートの使い方をしているか、板書を写す以外に何かの活動をしているかなどを点検すると、生徒の授業の受け止め方が良くわかります。そこから、授業の自己評価もできます。

 このように書いている筆者も、実は先日はじめてノート点検を行いました。中学生なのにこちらがうなるようなしっかりしたノートを作っている生徒もいましたし、やっつけのノートを出す生徒もいました。ノートの活用とテストの成績にはかなりの相関関係があることが分かったことも、当たり前といえばそうなのですが、新鮮な発見でした。点検後に一言コメントを入れて返却しました。労は多かったけれど、益もかなりありました。こんなことはすでにやっているよ、常識だよと言われるかもしれませんが、先生方も一度ノート点検をやってみることを勧めます。

 なお、大学ではパワーポイント全盛ですが、そんな時に受講学生がどのように講義内容をメモしてゆくべきか、大学生のノートの取り方指導なども検討の余地ありとも感じています。

(メルマガ 65号から転載)

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