ワークショップ「大阪」

■日時 2010年3月26日(金) 14時00分~17時00分
■場所 エル・大阪(大阪府立労働センター)

エル・大阪において、財団法人経済広報センターの後援で、経済教育ワークショップ(大阪)を開催した。中学校教諭のみならず高等学校教員の参加のもとに、 模擬授業の実施と次期学習指導要領をふまえた「経済学習」の内容について、活発に議論・意見交換を行うことができた。

【プログラム】

13:15~  受付

14:00~14:05 開会挨拶
                 経済教育ネットワーク 代表 篠原総一

14:05~15:25 模擬授業「ゲーム教材による中学校社会科公民的分野の授業例」
            大阪市立加美中学校  教諭 李 洪俊
       コメント 大阪狭山市立南中学校 教諭 奥田修一郎

15:40~17:00 経済の教え方は新学習指導要領でどう変わるか
            同志社大学経済学部 教授 篠原総一

【ワークショップの要約】

李 洪俊氏(大阪市立加美中学校)が学習研究社より出版された『ゲームで学ぶ経済のしくみ』(全6巻)の「第3巻 金融のしくみ」について 模擬授業を実践された。

教室では、金融のしくみと“信用”の大切さを基礎知識として生徒たちに授業した後に、ゲームを始めることを述べられた。そして模擬授業では、 ワークショップの参加者に原材料企業、部品加工企業AとB、製品製造企業、小売販売企業とそれぞれの役割を分担させながら、①銀行が存在しない場合と、 ②銀行が存在する場合のゲームを2回行なわれた。模擬授業後の意見交換によると、銀行から融資を受けることで生産性が増加することを狙いとしているが、 このゲームで生徒たちにそれを理解させるには難しいところがある。むしろ、生産性の向上を意図するならば、働く人数を増やすとか、生産物を造りやすく する方法を導入するほうが理解しやすくなる。また、このゲームでは小売販売企業の役割がはっきりしていないという意見もあった。ただ、 生徒たちがゲームに興ずる中で、いろいろな疑問や考えを抱く方法として意義があることについては、参加者全員が同感するところであった。

模擬授業の総括として、奥田修一郎氏(大阪狭山市立南中学校)がゲーム学習についてコメントされた。その中で、ゲームは10分程度の範囲内で終了することが 望ましいとされたうえで、ゲーム教材には開発教育の視点からだけでなくインセンティブや制度設計という視点から捉えることと、楽しい授業だけで終わらずに 「ふり返り」活動を重視することの大切さを強調された。

続いて、篠原総一氏(同志社大学経済学部)が経済の仕組みは基本的に「分業」と「交換」であることを説明された後、この考え方にしたがって 経済広報センターで開発された教材を紹介された。紹介された教材は、分業のメリットを理解させるために、前半の「無人島シミュレーション」と後半の 「住宅メーカー シミュレーション」の2つの部分から構成されている。参加者からの意見では、前半の「無人島シミュレーション」については、生徒たちには 理解しやすい内容である。ところが、「住宅メーカー シミュレーション」については、生徒たちが住宅の購入を日常茶飯事に経験することがほとんど無いので、 理解しにくいのではという意見であった。むしろ、携帯電話の購入とか、DVDやCDの購入といった身近な例を取り上げるほうが、「分業」と「交換」を 理解させる効果は大きいとする感想が多かった。

(文責:西村 理)

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