北海道高等学校政治経済研究会
■日時:2009年8月5日(水) 9:30~16:00
■場所:ホテルサンルートニュー札幌 2階「羊蹄」
北海道高等学校政治経済研究会(「道政研」)からの要請で,第34回研究大会に協力し,講演会の講師の紹介と,モデル授業を行った。道政研は, 北海道内全域の高等学校公民科の教員により構成され,当日は60名あまりの参加をうけて盛会となった。参加教員は概ね政治・経済や現代社会を 学校現場で担当しているが,実際の専門は倫理や政治,法律,あるいは歴史などを修めている者もいる。今回は特に経済分野にしぼったプログラムで, より深く学ぼうという主旨であった。
【プログラム】
(1)総会(9:30~10:00) 開会式及び総会。
(2)講演(10:00~12:00) 「日本経済の現状と今後の展望」
(中央三井トラストホールディングス株式会社 業務部 主席調査役 伊藤 雄介)
(3)モデル授業(13:00~14:20) 「公共財ゲーム」
(東京都立西高等学校 教諭 新井 明)
(4)実践報告(14:30~15:30) 「中学校社会科経済教育の実際」
(札幌市立啓明中学校 教諭 山下 豊)
(5)挨拶(15:30~15:45)
(経済教育ネットワーク代表 同志社大学経済学部教授 篠原 総一)
(6)学習会報告(15:45~16:50)
【内容の要約】
まず中央三井トラストホールディングスの伊藤雄介氏が,豊富な資料をもとにして「日本経済の現状と今後の展望」というテーマで講演を行った。 「政治・経済」を担当する先生,ということを意識し,これまでの日本経済の歴史的な変動から導入し,現場の教員とのコミュニケーションを図った。 さらに,米・中・欧を中心にした海外経済の動向,日本経済の動向,そして,特に日本の製造業をベースとした現状分析とこれから,という内容で展開された。 扱われた資料は,比較的入手しやすく判断しやすい内容のものが多く,研究会の先生方も卑近な内容に,理解が深まったのではないだろうか。
昼休みを挟んで,次に経済ネットワークの新井明氏(都立西高校)が,日本大学中川教授の開発した「公共財ゲーム」のモデル授業を行った。
いわゆる講義式の授業からはなれて行うアクティビティを行う場合は,その意味あいがきちんと生徒に伝わらなければ意味がない,ということ。 そのためには,きちんとした振り返りを行って,生徒へのメッセージを教員自身が強く持って臨むということをまず語られた。「公共財ゲーム」は マンションの耐震工事を行う事例から,市場の失敗における政府の役割を確認する。また,政府がなぜ必要なのか,ということの意味あいを考えさせる 導入ともなる。会場の先生方を7つのグループに分けて実際にモデル授業を実施。ゲームで1コマ(50分),振り返りで1コマを使用する想定である。 ゲームの主旨が分かっている人も,そうでない人も,こうしたゲームを行っていく過程で,話し合い,考える時間を持つことで,会場全体も盛り上がっていた。 ゲームなどのアクティビティを行う場合の,良い展開がみられたと思う。振り返りによって,ゲームの主旨を確認した。
(文責:清水書院編集部 中沖 栄)
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