①どんな本か
・ご存じ『国勢図会』の最新版です。
・今年で79版になっている超ロングセラーの本です。あまりにもポピュラーなので、紹介してきませんでしたが、改めてその活用方法などを提案してみたいと思います。

②どんな内容か
・全体は40章からなっています。冒頭は毎年特集が組まれていて、今年は「コロナウイルス感染症」です。
・第1章から4章までは、人口など基本的なデータです。
・第5章労働、第6章国民経済計算、第7章企業活動をはさんで、第8章から23章までは産業別のデータが扱われます。このあたりは、地理学習向けになるでしょう。
・第24章から26章までは、国際経済です。
・第27章から29章は、マクロ経済の物価、財政、金融などが扱われます。
・第30章から31章は、運輸観光、情報通信、科学技術なです。
・第33章から36章は、国民の生活で、家計や食生活、教育、社会保障などが登場します。
・第37章から40章は、環境、災害、犯罪、国防と続き、最後に長期統計が付録として付くという構成です。

③どんなところが役立つか
・まえがきに、「統計が示す事実をベースに物事を考えること考える事」は重要と書かれているように、基本的なデータをもとに生徒に変化や事態を読み取らせることは、授業の基本になるでしょう。
・部分、部分で使うのが一般的でしょうが、一度、ざっと全体を読んでみると、日本の現状が概観できて、頭の整理に役立ちます。
・官庁統計のように網羅的ではなく、整理されて掲載されているので、出てきている数字をもとに、今ならエクセルなどで、自作のグラフや図を作成することができるのではないでしょうか。一度挑戦されるとよいかもしれません。
・元データの出所が明記されているので、そこにアクセスして、データや発表資料の本元を探すことができます。
・おもしろネタが探せるかもしれません。例えば、漁業のところで、日本、韓国、中国、アメリカのなかで、一日一人あたりの魚介類消費量が一番多い国はどこかというようなクイズも作成できます。
・受験対策になります。大学入試では、さすがに『国勢図会』のグラフをそのまま出すケースはなくなっていますが、高校入試ではそのままではないとしてもベースとして結構使われているケースがあるのではないでしょうか。

④感想
・いままでは、学校の教科予算で毎年必ず購入してきました。久しぶりに自分で購入して一読してみて、ロングセラーの理由を再確認しました。
・この欄で、これまで紹介した岩波新書の『日本経済図説』や『世界経済図説』もハンディで捨てがたいのですが、いかんせん、図やグラフが小さいのが玉に傷。それに比べると『国勢図会』の大きさは丁度よいという印象です。

(経済教育ネットワーク  新井 明)

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