ワークショップ「福井」を開催しました(2009/12/3)

ワークショップ「福井」

■日時:2009年12月3日(木) 14時00分~17時05分
■場所:福井大学教育地域科学部大会議室

福井大学において、福井大学、福井県高等学校社会科研究会福井ブロック、福井県高等学校教育研究会地理歴史・公民部会福井ブロックと共催で、 経済教育ワークショップ(福井)を開催した。当日は、福井県下の各高等学校から24名、福井大学の学生17名の参加を得て、経済教育や経済学を専門とする 大学教員がモデル授業を行なったり、経済の見方・考え方を提案した。

【プログラム】

13:30~     受付
14:00~14:05 主催者挨拶、講師紹介
14:05~15:20 モデル授業「シュミレーションを使った高校経済の授業例」
          弘前大学教育学部 教授   猪瀬 武則
15:40~17:00 時事問題「鳩山新政権経済政策の見方」
          同志社大学経済学部 教授 西村 理
17:00~17:05 閉会挨拶・主催者挨拶

【ワークショップの要約】

橋本康弘氏(福井大学)の司会でワークショップが進められた。まず初めに、猪瀬武則氏(弘前大学)がモデル授業の内容(政府の必要性と税や公共性の意義)、 方法(ゲーミングシュミレーション)、目標(実践的意思決定、すなわち合理的価値判断できる能力)について説明された。その後、参加者を1グループ5名ずつの グループ分けをしてから、モデル授業を進められた。今回使われたモデルは「マンションの耐震改修を通じて政府の経済活動を考える」で、これは中川雅之氏(日本大学)の 開発されたモデルの修正版である。最初の2回は個々人が自分一人で意思決定をするゲームを行い、続いて全員が相談して決めるゲームを行なって、ゲームごとに各グループの 結果を公表していく形で進められた。

このモデル授業の目的は、個人の財産価値を最大にする選択行動がマンション住民(公共)全員の財産価値の最大にはならず、むしろ全員の協調行動が必要であることを 生徒たちに理解させるところにある。いわゆる囚人のジレンマに陥らないことが大切になってくる。最後に、イギリスの哲学者ジョン・ロックの言葉「自分の財産の処分権の 一部を誰かに委ねた方がいい場合がある」を引用して、モデル授業の目的を総括された。  

続いて、西村理(同志社大学)が民主党新政権のマニフェストに書かれている項目から3つ選んで、経済学的な見方・考え方について解説した。

(1)高速道路の無料化について  
高速道路の管理・運営費は利用者負担にすべきで、国民の税負担は受益者負担の原則に抵触する。また、無料化によって引き起こされる渋滞は、高速道路のサービス (早く目的地に到着でき時間コストの節約になる)を低下させることになるので、渋滞を発生させないような料金体系を設定するほうが重要である。さらに、 地域経済を活性化させる効果はほとんど期待できない。むしろ他の施策でもって地域経済の活性化を図るべきである。

(2)最低賃金の引き上げ  
最低賃金の引き上げは、企業の労働需要を減少させ、むしろ失業者を増やすことになる。また、企業が生産を海外に移転させる傾向に拍車を掛け、労働需要の一層の減少を 引き起こすことになり兼ねない。ワーキングプアからの脱却を目的にするならば、最低賃金の引き下げよりも、むしろ「負の所得税」を導入するほうが望ましい。 生計費の確保と共に、労働のインセンティブを与える効果も期待できるからだ。

(3)製造現場への派遣の原則禁止  
派遣労働を禁止しても、企業はその他の非正規労働者にシフトする可能性が大きい。また、現在は低成長時代になり、さらにグローバル化による競争社会へ移り変わってきた。 企業が非正規雇用を増加させてきた背景には、このようなマクロ経済環境の変化がある。したがって、派遣労働者の雇用安定を図るためには、政府によるセーフティネットの充実や、 企業の社会的責任としてワークシェアリングなどの採用が求められる。  

最後に、篠原総一氏(同志社大学)が、経済教育の意義や役割について総括されて、福井でのワークショップを終えた。

(文責:西村理)