ワークショップ「大阪」

 
■日時 2009年3月4日(水) 15時00分~17時30分
■場所 大阪市立南中学校(図書室)


大阪市立南中学校において、大阪府公立中学校社会科教育研究会と共催で、経済教育ワークショップ(大阪)を開催した。当日は、大阪府のみならず、 京都府や奈良県下の学校教員および経済教育諸団体関係者など39名の参加を得て、授業内容の組み方、授業の進め方などについて、活発に議論・意見交換を行うことができた。


【プログラム】

14:40~    受付

15:00~15:05 開会挨拶
                 大阪府公立中学校社会科教育研究会 会長 丹松 美代志

15:05~16:10 提案  「企業で教える経済」の授業
                経済教育ネットワーク 代表   篠原 総一

16:10~16:20 休憩

16:20~17:25 ビデオ事例研究~事例から何を学ぶか~
           歴史分野 発展的学習-絵画資料(絵巻物)を通して中世社会を考える
           『一遍聖絵』を通して中世社会を読み解く
           「キーワードで教える経済の授業」
           大阪教育大学附属平野中学校の取り組み

17:25~17:30 閉会挨拶
                同志社大学経済学部   西村 理




【ワークショップの要約】

丹松美代志氏(池田市立石橋中学校)の開会挨拶に続いて、篠原総一氏(同志社大学)が、「『仕組み』から学ぶ経済」というテーマで講演された。

講演では、「経済」の基本は分業と交換にあり、それゆえに経済社会が存在することを認識したうえで、分業と交換の「仕組み」を知ることの大切さを強調された。 そして、分業と交換は「豊かな社会」を目指すための条件であるという目的を常に持ち続けて欲しい視点である。というのも、社会の豊かさと公正さは、相当程度まで 「仕組み」の良し悪しに依存するからである。

続いて、分業と交換の効率を高める工夫をいくつか紹介された後、生産の仕組みを説明された。子どもたちが日常的に接するのは、小売店やスーパなど最終消費財を扱う 場所が多い。しかし、経済の仕組みを理解するためには、たとえば製造業に目を向けると、素材→部品→加工組立て→配給→消費者の流れになっている。 この流れのなかで、多くの市場取引がおこなわれていることに気づかせることが大切である。そして、企業がモノを作る仕組みを評価する視点として、「もっと能率よく 作る仕組みはあるか(効率の問題)」、「社会全体で不必要なモノ、不足しているモノがないか(公正の問題)」などが考えられる。

講演後、教育に関する効率と公正の問題が提起された。それに対して、効率と公正は相反するものではなく、教育について何が公正かを問い、それを実現するための 効率的な方法が求められるという主旨の回答があった。

休憩の後、丹松美代志氏(池田市立石橋中学校)が大阪教育大学附属平野中学校でおこなわれた歴史分野の発展的学習をビデオ撮影され、それを観ながら授業を進め方に ついての事例研究が紹介された。テーマは「『一遍聖絵』を通して中世社会を考える」であった。与えられた史料の一部を予習してきた内容について、1グループ4人の 学習を通じて討論することで、子どもたちが考え理解していく授業が興味深かかった。

ビデオを観た後の感想を参加者が述べ合った。全体の印象としては、レベルの高い授業で何らかの形で、自分たちの授業にも取り入れたいという感想が多かった。

最後に、西村理が閉会の挨拶をして、大阪でのワークショップを終えた。


(文責:西村 理)

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