ワークショップ「盛岡」
■日時 2009年2月27日(金) 14時00分~16時50分
■場所 岩手大学教育学部附属中学校(教育実習生室)
岩手大学教育学部附属中学校において、経済教育ワークショップ(盛岡)を開催しました。当日は盛岡市、花巻市、久慈市、奥州市などから23名の参加を得て、 学校教育で必要な経済教育の「あり方」と直接金融を理解させることを目的としたゲームの模擬授業が行なわれました。
【プログラム】
13:40~ 受付
14:00~15:00 講演「経済教育と新学習指導要領」
(同志社大学経済学部 篠原総一)
15:00~15:15 休憩
15:15~16:30 ワークショップ(ゲームで企業活動を学ぶ)
(弘前大学教育学部 猪瀬武則)
16:30~16:40 コメント
(同志社大学経済学部 西村理)
16:40~16:50 質疑
【ワークショップの要約】
菊池勉氏(岩手大学教育学部附属中学校)の司会でワークショップが進められた。まず初めに、篠原総一氏(同志社大学)が経済教育の趣旨を述べられた。 それは、生徒たちに住みやすい社会の条件を考えるための目を養うことである。そのためのいくつかの重要なポイントを挙げられた。
①両方の視点から考えることの大切さである。たとえば、派遣切りの問題を例にとると、切られる側の派遣労働者の事情と共に、切る側の企業にとっての事情も 考える必要がある。さらに、どのような状態が望ましいかを考えるとき、正解は一つではないことに気づかせることも大切である。
②新学習指導要領で述べられている「効率」と「公正」の概念について、多くの人が間違いやすい思い込みが指摘された。それは、市場活動が効率的(=無駄を省く)で、 政府活動が公正という二分法の考え方である。むしろ、市場活動が効率的になるのは稀で、いわゆる「市場の失敗」が起こりやすい。その市場の失敗を是正するのが 政府の役割であり、政府活動は市場活動に代わって効率性を実現するために必要とされる点を理解させることである。
③政府の役割については、道路や上下水道など社会資本の供給だけでなく、情報の非対称性から生じる市場の失敗を是正する目的で、規制、許認可、免許制度などが あることを理解させることが非常に重要である。
続いて、猪瀬武則氏(弘前大学教育学部)自身が開発された「株式会社設立ゲーム」の模擬授業が行なわれた。ゲームの前に、参加者を起業家と投資家のグループに分け、 起業家のグループに入った参加者には、起業しようとする事業の内容や配当率をアナウンスする。そして、投資家は初期の手持ち資金(1,000万円)を元手に、 将来収益の期待できる起業家から株式を購入する。その後、経済状況の変化で、業績を上げた事業や倒産に至った事業がアナウンスされ、それに応じて投資家の 資金ポジションを計算する。ここまでが第1ラウンドである。第2ラウンドも同じように行なわれ、最終の投資収益を計算してゲームは終了する。
このゲームの狙いは、株式の購入によって資金が増えたり減ったりすることを通じて、直接金融の意味を理解させることであった。
最後に、西村が全体の総括と経済教育ネットワークの事業内容を紹介して、盛岡でのワークショップを終えた。
(文責:西村 理)