ワークショップ「弘前」

 
■日時 2007年8月 8日(水) 13:30-17:00
■場所 弘前大学教育学部附属小学校


【ワークショップの要約】

『政府はなぜ必要か? シミュレーションでの授業』の表題で行なわれたワークショップの内容は、次のとおりでした(詳細は、後日発行されるニューズレター参照)。

1. 開催校挨拶(猪瀬武則先生)
2. 「政府が必要なわけ・・公共財ゲーム」中川雅之先生(日本大学経済学部)による授業
対象:弘前大学付属中学と平川市立尾上中学の生徒20名(男女混合)

経過【約1時間】

① マンションの認識を確認(部会において地方部においてマンションの認識があるか?という質問があったため)
② マンション改修の意味、管理組合の意味の確認【以上、10分】
③ マンション耐震改修ゲームの開始
④ 実験は3回(各実験は各グループに3分の時間を与えたが、ほとんどは1.5~2分で中川先生に回答)一時金支払いの世帯は5世帯→2世帯→4世帯【以上、30分】
⑤ 最後のまとめはつぎの3つ。
⑥ 公共財の説明(学生に確認しながら授業)
⑦ 最後に表を板書し、学生一人ひとりを指名し、空欄に入れさせる。
⑧ 教材6ページの表の説明【以上、20分】
⑨ 生徒からアンケート(猪瀬の司会で、生徒からディブリーフィングをした)。

3. コメント
加藤一誠(日本大学経済学部)、福田進治(弘前大学人文学部)

ここで、生徒は退場し、それ以外の出席者のみのディスカション。

4. 質疑応答
① 政府とゲームの関連づけについて学習課題の設定が不明確
② 授業のきっかけは別として、中身は面白かった。誘導的な授業であり、生徒とのやりとり(インタラクション)など含めて、価値葛藤(モラルジレンマ)させたり、 悩ませたりする必要があったのではないか。
③ 参加型授業であるので、学習課題の設定は不要ではないか。問題は子どもたちが学習するなかで「気づき」(「払わない人が得するのだ」といったはっとするような驚き) が少ない。また、子どもたちに念押しするような振り返りが必要ではないか。例えば、貿易ゲームなどを参照にされるとよい。
④ 公共財とマンションが結びつかなかった。話し合いの結果、なぜ世帯数が変化したのかを解説するようなことをしてもよいのではないか。
→これに対しては中川先生より、「マンションには共有部分があり、自由意志を差し出さねばならないという共通点がある。公共財との関係はゲーム後にディスカッションする ことで補足しては?」との回答。また、コメンテイターの福田先生からも「政府は国民から税を集めてそれを使う。その意味では管理組合と機能は同じ。葛藤というよりも、 生徒が(支払わない人が得をするが、一番いいのは全員が支払うことという)矛盾があることを理解すればよいのではないか」という意見。
⑤ マンションの一時金を支払えない人がでてきたらどうするのか?
→中川先生より、「これは再分配の問題となり、再分配も政府の役割のひとつ。ただし、ゲームはこのこととは別」と回答。
⑥ 一時金という意味がわかりにくいという意見あり。
※マンション管理組合は、政府のアナロジーとして理解させる意味があり、上記の直接的な関連・関係を求めるフロアからの意見は、学習の本来的な意図を歪めることに なるので、注意が必要であり、「教材構成上の意味」「シミュレーション教材の意義」を説明する必要がある。

5. ミニ講演「経済教育  カリキュラム、1つの提案」篠原総一(同志社大学経済学部)
(内容は、近日刊行予定のニューズレター参照)


(文責:加藤一誠)

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