時事問題解説

コール・手形市場

日本において銀行等の民間金融機関がお金の短期的な過不足を相互に調整する市場のことをいいます。銀行等では日々、取引顧客の経済活動に伴ってお金を受け取ったり、支払ったりしていますが、そうしたなかで発生するお金の一時的な過不足を調整する場としてコール・手形市場が活用されているのです。この市場における需給が一方向に大きく振れた場合、コール・手形市場で形成される金利は日本銀行が定めた誘導目標から大きく乖離します。これに対し日本銀行では、公開市場操作を通じて資金を供給・吸収し、コール・手形金利が誘導目標に収まるよう努めます。そして、各種の市場金利は、コール・手形市場において形成された金利をベースラインとして、個々の市場での需給状況やその特性を反映して形成されます。

コール市場は、money at call (呼べば直ちに戻ってくるお金)という言葉に示されるように、翌日から1週間以内という比較的短期の資金を貸借する市場として構成され、?日中物(当日中に返済されるもの)、?オーバーナイト物(取引の翌日に返済されるもの)、?期日物(2日間以上1年以内の取引)に分類されますが、実際にはオーバーナイト物が中心となっています。これに対し、企業の振り出した手形でまだ期限の到来していないものなどを金融機関相互間で売買する市場を手形市場といい、1週間から数か月(制度的には12か月まで)という長めの資金融通手段として利用されています。手形市場は現在、日本銀行による手形オペの場として重要な役割を担っています。

コール・手形市場における最大の取り手は都市銀行であり、最近では7割前後を占めています。一方、最大の出し手は信託銀行であり、農林系統金融機関、地方銀行、全国信用金庫連合会・信用金庫、保険会社がそれに次いでいます。

(同志社経済学部教授 鹿野嘉昭)


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