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7月、文月です。
多くの学校では、期末考査が始まります。考査後の成績処理を終えると、夏休み。通常だと、校外宿泊行事やクラブ合宿、補講など7月いっぱいは休みという気分にはなりませんが、それでも気持ちがはずむ季節です。
ところが今年は、コロナ禍がまだ終焉のきざしを見せないなかで、オリンピックの開催が強行されそうです。経済の観点から言えば、開催の機会費用をきちんと見据えた判断が欲しいところですが、動き出した巨艦は簡単に止まらないということなのでしょうか。
そんな今月も、ネットワークの活動報告と授業に役立つ情報をお伝えします。
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【今月の内容】
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【 1 】最新活動報告
 企画中のイベントや21年6月の活動を報告します。
【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
 部会の案内、関連団体の活動、ネットワークに関連する情報などを紹介します。
【 3 】授業のヒント…「評価問題の中間総括とリアペ方式のすすめ」
【 4 】授業で役立つ本…変わり種二種類
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【 1 】イベントの案内と最新活動報告
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■「先生のための夏休み経済教室」を開催します。<既報>
 テーマ:「ポスト・コロナの経済教育のすすめ方」
 日時:2021年8月13日(金)、8月16日(月)
 場所:東京証券取引所のスタジオからWebによるライブ配信
 内容:
  8月13日(金) 中学校の先生向け
①講演「新教科書の読み方・授業での生かし方」
                    同志社大学政策学部教授 野間 敏克       
②実践提案「ポスト・コロナ時代のネタの集め方・生かし方」
                     立命館大学非常勤講師 河原 和之
  8月16日(月) 高等学校の先生向け
   ①講演「行動経済学と経済教育への生かし方」
           大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授  大竹 文雄
   ②講演「社会や経済は複雑すぎて、経験や直感だけで理解できる代物ではない」
                   慶應義塾大学経済学部教授 坂井 豊貴
・申し込みは東京証券取引所の以下のHPから受付中です。
 https://money-bu-jpx.com/news/article030277/

■札幌部会(No.26)を開催しました。
日時:2021年6月12日(土) 15時00分~17時00分
 内容の概略:24名参加。
(1) 藤牧朗先生(茨城県立並木中等教育学校・法政大学講師)から、「ルーブリックをつくっちゃおう、つかっちゃおう」の資料に基づいて、ルーブリック導入の取組みの報告がありました。
・ルーブリックは学ぶ人に学び方を明示するもので、はじめは3段階からつくりはじめていること、目的によってつくり分けていることなど、実際に作成したルーブリックの具体例を投影しながらの説明がありました。
・ルーブリックは学習者が自分で考えて自分で行動できるようになるための道具であり、自律的な市民を育てるための手段として活用できるという報告でした。

(2) 川瀬雅之先生(札幌市立札幌新川高等学校)から「投資計画ゲーム 教材開発の取組み⑤」の報告がありました。
・これまでの部会で報告されてきた道内7空港民営化に関する「授業プランの変更点(長期の視点の導入)」や、「新たな授業プランの概要」の説明です。
・新たな授業プラン(全5時間)は、5〜6名の7グループ(道内7空港別)に分かれて、「雇用創出に結びつく投資」を呼び込む内容を考えさせるものです。
・質疑応答の中では、グループ活動の方法やICTの活用などが話題になりました。
・加藤一誠先生からは、民営化の流れは経済原則ではなく、政治的な流れで出てきたものであること、航空は派生需要であって、空港を道具として使って地域活性化を考える教材にしていく必要性があり、何のために投資をするのかを考えさるような教材として欲しいという助言がありました。

(3) 河原和之先生(立命館大学他非常勤講師)から、「SDGsと経済教育」の資料に基づいて、「①フラワーロス解消」と「②ジグソー学習 どうする?買い物難民!」の2つの実践事例の紹介が行われました。
・事例①は花卉の廃棄問題をとりあげた事例で、奈良で行われたイベントの取材なども取り入れたユニークな教材です。
・事例②の、少子高齢化や限界集落化によって買い物難民が生じている状況を考察する実践は、北海道のような人口減少地域での実践に参考となる試みではという指摘がありました。
・質疑応答では、「教科書に書かれている理論・概念の活用という視点での教材作成の在り方」と、「新聞などの問題から入るという教材作成の在り方」についての議論がありました。
 部会内容の詳細は以下をご覧ください。
 https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2021/06/Sapporo026report.pdf
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【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
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<定例部会のお知らせです。(開催順・既報)>
■東京部会(No.124)・大阪部会(No.75) 合同部会を開催します。<既報>
 合同部会はオンライン会議にて行います。
 日時:2021年7月3日(土) 15時00分~17時00分
 内容:野間敏克先生から、新しい中学校教科書の分析、活用法の報告、他が予定されています。
 申し込みは以下からお願いします。
 https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2021/04/Osaka75flyer.pdf

■札幌部会(No.27)を開催します。
札幌部会(No.27)はオンライン会議にて行います。
日時:2021年9月18日(土) 15時00分~17時00分
申し込みは以下からお願いします。
https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2021/06/Sapporo027flyer.pdf

<情報紹介>
■加藤一誠先生のNHKラジオ登場は7月12日(月)の予定です。
『三宅民夫のマイあさ!』のコーナー「マイ!Biz(ビズ)」での、加藤一誠先生(慶應義塾大学商学部教授)の今月の登場は7月12日(月)の予定です。 時間は午前6時40分過ぎです。
番組ホームページ https://www4.nhk.or.jp/my-asa/

■金融広報中央委員会「学校における金融教育の年齢層別目標」(改訂版)の印刷冊子が発行されています。
https://www.shiruporuto.jp/education/about/container/program/mokuhyo/
改訂版を印刷したパンフレットは、6月上旬に学校に送付されていますが、さらに入用の場合は、金融広報中央委員会に連絡してほしいとのことです。
また、「お金の作文」など中高生、指導者むけの作文・論文コンクールの案内も以下から参照できます。
https://www.ron2021.jp/
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【 3 】授業のヒント 「評価問題の中間総括とリアペ方式のすすめ」
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執筆者 新井 明
 4月号から3回にわたり評価の問題をとりあげてきました。
 今月号では、ここまでの到達点と別の角度からの評価に関しての提案をしてみます。
(1)何が問題になっているか
 出発点は二つです。
 一つは、新学習指導要領から評価が四観点から三観点に変更になったことです。そのなかでも、特に「学びに向かう力、人間性等」が入ったことです。
学びに向かう力はなんとか評価できても、人間性をどう評価するのか、それを教科の学習のなかでおこなうとするとどんな方法があるのかという疑問が主に中学校の先生方から部会で出されました。もう一つは、高校の先生方からです。これまであまり評価についてつきつめて考えてこなかったけれど、観点別評価を要求されることになり、どうしようという戸惑いです。

(2)突破口の一つがルーブリック
そのなかから、4月号で杉田先生は、「評価に向き合えば授業が変わる」として、ルーブリックを導入して生徒のレポートの質が変わっただけでなく、授業目標・評価の基準が明確になり、授業内容の設定とリンクして授業の質が変わってきたことを報告されています。
しかし、ルーブリック作成にかかるエネルギーの多さ、ルーブリックによって逆に生徒の「忖度」を生み出すのではとの危惧も同時に指摘されました。
それに対して、5月号の奥田先生の論考では、ルーブリックも有効を認めつつ、評価で重要なのは、生徒によりそい、学びを励ますような長期的なものがのぞましく、「自己評価、相互評価、ポートフォリオ、チェックリストなど、いろいろな場面で方法をかえながら、行う方がいいように思います」と述べています。

 6月号の藤牧先生は、具体的にルーブリックの作成方法やそれを使った授業のやり方を提示してくれました。たしかに、この方法は大きく授業のスタイルを変えるだけでなく、学びのスタイルも変わってゆくだろうと思わせるものでした。
ここまでの議論の方向は、観点別評価の課題をクリアする有力な方法としてルーブリックがあり、それをどう導入して、どう観点別評価と結びつけたらよいかということになりそうです。同時に、生徒の理解をひろげ、認識を深めるにはどんな内容の授業が必要になるかという授業内容の吟味と評価の関連の探究も、さらに課題として残りそうです。

(3)リアペ方式
 ここで観点を変えて、筆者がやっている「リアペ方式」を紹介してみましょう。
 「リアペ」は、リアクションペーパの略です。大学の講義では、かなり普及しているやり方ではないでしょうか。
 筆者も、大学の教科教育法の授業で、出席カード代わりに授業の感想を最初は200字の原稿用紙で、それでは少なすぎることが分かったので、B5の用紙で書かせる方式を採用してきました。
 書かれた内容ですぐれたものは、次の回の授業の最初に時間をとって紹介し、場合によっては書いた学生にさらに質問や補足の発言をさせるというやり方を続けています。
 そのような形でフィードバックしながら、紹介しきれない良く書けている学生のリアペは毎回チェックをしておき、平常点として評価に組み入れていました。
 このやり方を、今、中学生にも行っています。

(4)こんなリアペがでてくる
 中学生に行うようになったのは偶然です。昨年、コロナ明けの対面授業が40分授業だったことで、出席を取る時間がもったいないので出席カード代わりに大学方式ではじめました。
 用紙は、A6版(A4の四分の1)で、100字~200字程度はかけるものです。授業理解度は、自己申告で三段階。絵入(ワードのテンプレートにある退出チケットを加工して使っています)です。
 最近の授業でのリアペの例です。
 テーマは需要曲線と供給曲線のシフトを理解させること。事例として、夏休みの旅行代金、マスクの値段、豊作貧乏の三つを、グループで作業させて(分からない生徒に分かった生徒が教える)、発表させる形をとりました。
 リアペでは、自己評価は9割方理解できたということでしたが、これはあまり信用ができません。
 生徒の理解度や学びに向かう力を測るにはリアペの文章を点検します。
 この時に、大きく三段階に評価をしてゆきますが、これはと思うものはちょっと角を折っておいて、あとでもう一度読み直すようにしています。返却はしません。本当はコメントを付けるなりして返したいところですが、200名毎週それをやるのは非常勤でも難しいので、「返さないけれど、しっかり読んでいるからね」と言っています。
 三段階の評価は以下のようなリアペをもとにしています。

 ・課題あり。
「需要と供給を学んだ」、「野菜をつぶすのはもったいないと感じた」など。

 ・ほぼ理解している。
「価格が需要量にあわせて変化するのはとても面白かった」、「グラフが苦手なので正直、自分で書ける気がしなかったが、仕組みを理解してかけば思いの外すらすら書けた。まだ完全ではないのでテストでしっかり書けるようにしたい」など。

 ・かなり考えている。
「豊作貧乏の時、需要曲線の傾きがゆるやかだと豊作でも良い(というかむしろ儲かる)ということが理解できた」、「農作物の需要は一定にしていたが、これは農作物が生活必需品だからで、豊作貧乏になるのはこれも一因なのかと思った」、「何かのきっかけである商品の需要、供給が変化し、また、その影響で商品の価格が変動するという繰り返しで、まさに「風が吹けば桶屋がもうかる」というのも成立しそうな気がする」など。

(5)自由だから深められる
 ルーブリックの良さは、生徒に到達目標を見える化できることだろうと筆者は考えています。
 その意味では、どこから手をつけてよいかわからない生徒にとっては、杉田先生流に表現すれば「忖度」できるルートが見えることで、学習の手がかりが得られるところではないかと思います。
 リアペ方式は、それに対して、発見できたこと、授業のなかで疑問に思ったことを自由に表現させることで、生徒の理解度、到達度や学習への意欲をある程度推定できる点で活用ができるように思います。
 この事例は、選抜された中学生集団のもので、公立中学でどこまで通用するかこころもとないところがありますが、高校生なら通用するかもしれません。
 例に出したように、生徒のリアペに、教えていないのに弾力性に注目する生徒がいたり、一般均衡に近い考え方を表明する生徒がいたりすることを発見できるのは、自由に書かせることのメリットではないでしょうか。
 教える方でも、例えば、「需要と供給のグラフでの移動する幅はある程度適当で良いか気になりました」というリアペが出てきたので、次に教えるクラスでは、この点に注意して話をするなど、授業の改善に通じる疑問や指摘もでてきます。
 生徒にとって、毎回、こんな形でリアペを要求されるのは、しんどいかもしれませんが、非常勤で週1回の付き合いの講師にとって、生徒の理解度、取組みの姿勢がわかるリアペ方式は、なかなかすぐれものの授業評価法と思っています。

(6)それでも残る問題
 一番大きな課題は、このやり方だと課題のある生徒がだれであるかは分かるけれど、どのようにその生徒たちをフォローしてゆくか、その道筋はここからは直ぐにでてこないことです。
 もう一つあげると、実際に評価を出すときに細かく基準をもうけて数値化していないため、恣意的な要素が入ることです。
 現実に、観点別評価を出せと言われている今、その要求に対して、現場としてどんな形でそれをクリアしてゆくのか、さらに、教える私たちの評価に対する理解度と「学びに向かう力」が問われていると言えるでしょう。(新井)
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【 4 】授業に役立つ本 
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 今月はちょっと変わり種の本を二種紹介します。
■Core Economics(Core Project)
https://www.core-econ.org/

①どんな本か
・これは先月紹介した、齊藤誠先生の『教養としてのグローバル経済』(有斐閣)のなかに「高校生でも読める参考文献を」という編集者の要求に応えるものとして、齊藤先生があげた一冊です。
・Core Projectは、欧米といっても、主に欧州の経済学者(フランス、ドイツ、イギリスなど)が参加して、新しい経済教育を目指してテキストの編集やオンラインで高校から大学院レベルまでの教育行っています。
・齊藤先生が推薦するのは、フリーで公開されている学部入門レベルの経済学のテキストです。ほかに、コロナ関連のデータや分析のコーナーもあります。

②どんな内容か
・全体は22章からなっています。目次を紹介しておきます。
1—資本主義革命  2-テクノロジー、人口、および成長  3-希少性、仕事、選択
4-社会的相互作用  5-財産と権力:相互利益と対立
6-会社:所有者、管理者、および従業員  7-会社とその顧客 
8-需要と供給:価格決定と競争の激しい市場 9-労働市場:賃金、利益、失業
10-銀行、お金、およびクレジット市場 
11-レントシーキング、価格設定、および市場のダイナミクス 
12-市場、効率、および公共政策  13-経済変動と失業  14-失業と財政政策
15-インフレ、失業、金融政策  16-長期的な技術の進歩、雇用、生活水準 
17—キャップストーン:大恐慌、黄金時代、そして世界的な金融危機
18—キャップストーン:国と世界経済
19-キャップストーン:経済的不平等
20-キャップストーン:環境の経済学
21-キャップストーン:イノベーション、情報、ネットワーク経済
22-キャップストーン:経済学、政治学、および公共政策
・基本的な内容はいわゆる主流派経済学のものと同一ですが、特徴として、具体的事例を取り入れて、課題解決的な書き方をしていることがわかります。それが17からのキャップストーン(総仕上げの探究学習)のところで大きく出ています。

③どんなところが役立つか
・アメリカではCEEが経済教育のスタンダードを提供して、大きな影響力をもっていますが、それとはことなる欧州型の経済教育の内容を知ることができます。サブタイトルが「世界を変えるための経済学」となっていることに象徴されるように、課題解決型の学習志向を持ったテキストです。
・アメリカのマンキューやクルーグマンなどのテキストと比較しながら、読む(眺める)と同じ資本主義国でも、肌合いがかなり違うことが実感できるはずです。ここから、日本の私たちが得られる教育的な課題は何かを考えることができると思われます。
・各セクションの最後にある、質問に答えてみて、自分の経済知識や問題意識を見直すこともよいかもしれません。

④感想
・むかしイギリスの高校生向けの経済学のテキストを入手したことがあり、地理的要素や環境問題などをいち早くとりいれていたのが印象的でした。
・このテキストでも、その特徴が良く出ているのではと感じます。
・Core Projectはアメリカにも進出しはじめて、アメリカの経済教育を改革しようとしています。はたして、どこまでそれが可能になるか、興味深いところです。
・夏休みに英文で挑戦するも良し、翻訳で読むのも良しです。Google翻訳でもそれなりの内容はつかめるようになってきています。そんな技術進歩の実例として、PCで読むのが良いかもしれません。ちなみに、紹介した目次は、Google翻訳の引用です。(新井)

■放送大学のテキスト
①どんな本か
・一冊ではなく、シリーズを紹介します。
・ご存じ、放送大学のテキストです。ネットワークでは、西村理先生が『経済学入門』、野間敏克先生が『金融と社会』を書かれています。
・放送大学の講義のための紙ベースの教材(印刷教材)です。

②どんな内容か
・それぞれの科目の講義内容(15回分)がコンパクトにまとめられていて、その分野のアウトラインを知ることができます。

③どんなところが役立つか
・授業準備のために、大学レベルの内容を確認したいときに手もとにあると便利です。特に、自分の専攻でない隣接分野に関して教えなければいけくなった場合、どこをどう切り込んだら良いかの手がかりがえらます。
・公民分野は、政治学、法学、社会学、哲学、倫理学など幅広く教えなければいけないし、学校によっては、日本史や世界史、地理まで教えなければいけなくなりますが、そんな時に、大学レベルの標準的な内容を押さえる場合に力を発揮します。

④感想
・これを紹介するきっかけは二つありました。
・一つは、株式会社の説明をした時に、出島とオランダ東インド会社の関係に触れました。説明をしているなかで、そういえば東インド会社は1799年に解散しているけれど、その後の出島貿易はだれが担ったのかということをふと思い、いろいろ調べようとしたのですが、そんなトリビアルな疑問は、分からないと言う答えでした。
・それが、昔の放送大学のテキスト(金井圓『近世日本とオランダ』)にあったのです。このテキストから、長崎貿易を巡るいろいろ興味深い事実もわかりました。
・もう一つは、第一次世界大戦からその後の日本の貿易収支のグラフに関する質問を寄せられて、その回答に一番役立ったのが、やはり放送大学のテキストを書籍化した本(三和良一『概説日本経済史近現代』)だったことです。
・歴史関係は、最近特にちょっとどうかなと思うようなおもしろ本がでていて、それをもとに授業をするような実践例などもありますが、歴史だけでなく、やはりきちんとした学問ベースを押さえた授業を行うためにも、放送大学のテキストは有効かと思います。
・全く違うジャンルに挑戦するときにも、よい羅針盤役を果たしてくれるでしょう。
・難点をあげれば、ちょっと高価なこと。でも、そのくらいの投資は授業のために必要か。夏休みに一冊手に取ってみませんか。(新井)
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【 5 】編集後記「みみずのたはこと」
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 150号になりました。17号(2010年6月号)から編集を担当させてもらってきましたが、継続は力だなと思う日々です。
 共通テストの記述式や英語の外部試験の導入が中止になりました。推進した責任者出てこいという気分です。教育議論は、正しいことを言い過ぎること、それと大変せっかちであることで自縄自縛になってしまった例ではと感じています。
世の中には、特に教育にはこれをやれば一挙に問題解決というようなことはそうあるものではないということを胸に刻んで、取り組めたらと思っています。(新井)

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編集・発行 :経済教育ネットワーク 
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