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新年度。卯月四月です。
芽吹きの季節、フレッシュな気持ちの生徒を前に「さあはじめるぞ」という気持ちになる一年で一番良い季節です。
もっとも、そんなのは教師の「滑稽な」「錯覚」だと喝破した思想家(林達夫「十字路に立つ大学」『林達夫評論集』岩波文庫所収)もいましたが、そうであっても、やはり何事もスタート時点の新鮮な気持ちを大切にしたいものです。
そんな新学期の今月も、ネットワークの活動報告と、授業に役立つ情報をお伝えします。
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【今月の内容】
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【 1 】最新活動報告
 23年3月に開催された定例部会の報告です。
【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
 部会の案内、関連団体の活動、ネットワークに関連する情報などを紹介します。
【 3 】授業のヒント…授業びらきはこれで
【 4 】授業で役立つ本…今月も授業のヒントになる本を二冊紹介します。
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【 1 】最新活動報告
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■東京部会(第133回)・大阪部会(第83回)を合同で開催しました。
 日時:2023年3月18日(土)15:00~17:00
 場所:zoomによるオンライン会議。
 主な内容:参加者24名
(1)篠原代表から計画中の「夏休み経済教室」に関する情報提供がありました。

(2)「「社会的共通資本」を教える~生徒の“優勝劣敗”“格差拡大”是認の意識を踏まえて~」が藤牧朗先生(茨城県立並木中等教育学校)から報告されました。
 社会的共通資本を取りあげた理由は、自由競争が当たり前、優勝劣敗による格差が当たり前と考える生徒たちに「それでいいのかな」という問題提起をしたいと考えたからとのこと。
使った資料は、宇沢著『人間の経済』(新潮新書)が中心で、最初にロイロノートを使って「経済を一言でいうと」という簡単なアンケートをとり、その上で3分ほどの動画(「あの人に会いたい」という宇沢氏をとりあげた番組の冒頭)を見せ、教科書の社会的共通資本の箇所を確認し、その上で、当日用意した6種類の資料をジグソー法で読み取らせ、共有する。それをもう一度ペア活動で理解を深めさせて、最後に演劇的手法で宇沢先生役の生徒と質疑応答をさせるという流れの授業です。
 検討では、これだけの内容は3から4時間は必要だろうという感想や、ジグソーのそれぞれのテーマは何か、また、宇沢役になった生徒の選び方、どんな内容の質疑だったかという質問が出されました。
 それに対して、農業、大学、など6つのテーマであり、宇沢役に関しては、はずさない程度の応答ができたとの回答が藤牧先生からありました。

(3)「令和5年度 大学入試共通テスト経済分野の問題分析」の報告が大塚雅之先生(府立三国丘高等学校)からありました。
 本年度の共通テストの「政治・経済」と「現代社会」から特徴ある問題をピックアップして解説と授業への影響を分析したもので、思考力を問う問題、メッセージ性のある問題が合計10題とりあげられて、解説が加えられました。
 大塚先生からは、入試問題で出題されると教科書に入れなければという圧力がかかり、今回もこれまでとりあげられていない用語(財産区、AIIBなど)が出ているという指摘や、隠れたメッセージを読み取ることも大事であるとの指摘もが出されました。
 検討では、「政治・経済」と「現代社会」の問題のメッセージの意味は何かという質問が大塚先生からあり、野間先生、篠原代表からそれぞれコメントがありました。
 また、質疑では、今年の「政治・経済」の平均点が「現代社会」より約10点低かったが、それをどう現場で受け止めたのか、リード文など仕掛けが複雑で時間内ではやりきれないのではという質問があり、それなりに準備をしていれば対応は可能であったという回答が大塚先生をはじめ参加の先生からよせられました。
 大学での学びや国際的に求められる読解力の水準など考えると、この程度の分量をこなせることも求められていると理解しておいた方がよいのではというコメントも参加者から出されました。

(4)「経済で戦争を教える」の報告が新井(筑波大学附属中学非常勤講師)からありました。
 中学3年生の最後の授業で行われた2時間の授業実践の報告です。
1時間目は、通常の学習と戦争が関連していることに気づかせることからはじめて、そこから、戦争は多面的であること、戦争を経済の生産の三要素+情報から捉える観点があること、戦争を始める決定は、戦争をやることで得られるベネフィットと戦争によるコストを考量していること、ロシアとウクライナの経済力の差の具体的数字などを提示してゆきます。
1時間目は、戦争を終わらせる方法を、グループでの調査、討論を経て結論を発表。それを踏まえて簡単なレポートを作成、期末考査での論述問題を答えさせるという一連の流れで生徒の認識を深めるという授業です。
 報告では、グループ学習で出てきた意見、レポート抜粋、テストで書いた生徒の回答例の紹介があり、クールヘッドの部分には刺激を与えられたが、ウオームハートの部分まで取り込むにはもう少し時間が必要との総括が提示されました。
 検討では、多面的という点では評価できるが多角的という点で深めるのはもう少し時間が必要だろうというコメントや、テストの論述の採点基準やウクライナはロシア領土には反撃できないというウクライナ戦争の非対称性をどこまで伝えているかという質問がありました。
 それに対して、論述は事実の間違いは減点するがあとはゆるく採点すること、戦争の悲惨さ不当さは強調しなかったが前提として授業をしたとの報告者の回答があり、合同部会を終了しました。
 部会内容の詳細は以下をご覧ください。
 http://test.belle-music.site/wp-content/uploads/2023/03/tokyo133Osaka83report.pdf
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【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
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<定例部会と企画中のイベントのご案内です>(開催順)
■拡大札幌部会を開催します。(既報)
 日時:2023年5月20日(土)14:00~17:00
 場所:キャリアバンクセミナールーム+Zoom を活用したハイブリッド形式
 テーマ:経済学習における政府の教え方
 今回の札幌部会では、政府の経済的役割に関して、これまでの政治と経済で分断されている内容を一体のものとしてどう教えることができるか、中高の具体例とそれをもとにした討論で進行します。
 申し込みは以下からお願いします。
 http://test.belle-music.site/wp-content/uploads/2023/03/Sapporo032flyer.pdf
 
■東京部会・大阪部会を合同で開催します。
東京(No.134)大阪(No.84)部会は合同でオンラインのみで行います。
日時:2023年6月10日(土) 15時00分~17時00分
場所: オンライン(Zoom形式)
申し込みは以下からお願いします。
 http://test.belle-music.site/wp-content/uploads/2023/03/tokyo134Osaka84flyerZoom.pdf

■今夏も「先生のための夏休みの経済教室」を開催します。
 日時:8月21日(月)高等学校向け 午前と午後4コマ
 現実の経済の動きと経済学の見方を解説する3人のエコミストの講演と、講演内容をいかに授業につくりあげてゆくか、現場の教員と考えてゆきます。
 日時:8月22日(火)中学校向け 午前と午後4コマ
 経済の観点からで地理、歴史、公民をどう教えるか、現場からの授業提案と教育、歴史、経済の専門家とともに考えてゆきます。
 場所:両日とも慶応義塾大学三田キャンパス北館
 方法:会場での対面とオンラインのハイブリッド形式
 プログラムの詳細が決定次第、HPとメルマガで紹介してゆきます。
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【 3 】授業のヒント 授業びらきはこれで
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■(中学校)    「ドラえもん」とともに
                        小谷 勇人(春日部市立武里中学校)
「四次元ポケット」を持とう
 中学校では授業開きはどの学年であろうとタイミング的に地理か歴史となり、経済を取扱うチャンスは中々ありません。でも、社会科全体に関わる話として経済と絡めることは可能であるので生徒に強く印象づける仕掛けを組み込みたいものです。
まずは、「なぜ社会科を学ぶのか」という話は必要です。私が授業開きによく伝えることは、過去・現在・未来を串刺しにして地理・歴史・公民の学習のそれぞれの役割について説明します。
 よく「ドラえもん」を例にし「自分の中に四次元ポケットを持とう」という話をします。
地理学習は「どこでもドア(空間的認識)」、歴史学習は「タイムマシン(時間的認識)」といった具合です。この地歴の学習が土台となって公民では現代社会の学習をしますが、加えて「未来を構想することが大切」と話します。
その際、大きな判断材料となっていくのが、政治(人権含む)と経済の学習になることを伝えます。
中学1年生入学時であったら遠い話に感じるかもしれませんが、卒業時のゴールまで見通して生徒が社会科を学ぶ理由を教えたいものです。

タイムリーな事例を
 社会科を学ぶ理由を伝えたら、生徒の印象に残る事例を紹介しましょう。
先生の中で鉄板ネタがあればよいですが、なるべくタイムリーなもの、現在だったらウクライナへのロシア侵攻が生徒には分かりやすいかと思います。
ウクライナ侵攻というキーワードを真ん中にして、「地理」「歴史」「政治(人権含む)」「経済」の語句を配置した枠をワークシートに入れて生徒に考えさせると「なぜ社会科を学ぶのか」という理由に自然と行きつくと考えます。
例として、「経済」の枠ではロシアがウクライナに入るパイプラインの通過料を自らの手で管理したいと考えていたことには指摘したいです。
 今ならタブレット型端末を活用して資料を見つけながらグループで話し合うことも容易です。事例は毎年タイムリーなものにして授業びらきの際に行うと、卒業までに3回できます。どんな事例をあげたとしても経済は「なぜそのようなことが起こっているのか」を理解する大きな根拠になることでしょう。
 中学1年生のスタートから経済に関する学習の積み重ねが、最終的に中学3年生の経済単元の学習で大きく花開きます。教師の方からこぼれ話的に小出しにする程度でも構いません。特に教えていて地理と歴史の学習には随所に経済が見え隠れしていると実感しています。
授業開きから種まきを始めていきたいですね。

■(高等学校)  つかみは「コンセンサスゲーム」
中山諒一郎(昭和学院中学・高等学校)
いきなりゲーム
 年間の授業びらきには2コマを割いています。
1コマ目は、「コンセンサスゲーム」です。自己紹介などはさらっと簡単に行う程度(今年度の授業を担当する中山です。よろしくねー!くらいの感じです。)で、あえてすぐにこのゲームに入ります。年によって、砂漠で遭難してもらったり雪山で遭難してもらったりします。
 なぜいきなりゲームから入るのか?それは、一番には「生徒を惹きつけるため」です。
講演やプレゼン、スピーチでも「つかみ」は大切であるように、年間の授業でも同様だと考えています。いきなりよく知らないおじさんが自分の紹介を始めても、生徒たちが引き込まれるとは思えません。そこであえていきなりゲームから始めることで、「なんとなくこの授業は他とは違いそうだな」とか「面白そうかも」という雰囲気を醸し出します。
そうして初めて、彼らはこちらの話をきいてやってもいいじゃないかと思い始めます。
このゲームにはあと2つほど隠れた狙いがあります。
一つは、ゲーム内でのファシリテーションの様子で授業者の人となりを感じ取ってもらう(自己紹介代わり)こと、もう一つは、この授業の手法を感じ取ってもらう、ことも意図しています。

学ぶ意義と手法を
 次に、2コマ目です。ここでは①自己紹介 ②学ぶ意義(なぜ学ぶのか?)について ③学ぶ手法(この授業はどのように進めるか?ルールや目標は何か?)の3つが主な内容です。
 最初にスライド数枚分くらいの自己紹介をします。
その上で、なぜ学ぶのか?をソシュールの言語論(言葉を獲得することは世界の見え方を獲得すること)などを用いつつ考えていきます。
ここでは、「虹の色は何色か?」などの問いかけを入れながら、周囲の仲間と対話しながら学ぶ理由を考えてもらいます。
 その上で、「この科目を学ぶ理由」については、これから1年間の授業の中で一緒に考えていこう、と呼びかけます。
 また、学び方については、「この授業では今までおそらく多くの授業で約束事になっていたことはすべて破るくらいの気概をもとう!」と話し、授業中は基本的にいつでも立ち歩いてよいこと、机と椅子にとらわれる必要はないので、教室内のどこで学んでもよいこと、どんどん周りの人と話したり、教えあったりしてほしいことなど、態度目標を共有します。
この目標は以後毎時間黒板に掲示し、毎回授業終わりに記入させる「振り返りフォーム」で自己評価させています。
 実は、1年間の最後の授業では、「最後に改めて学ぶ理由を考えよう」という授業を行っています。
そこでは1年間の授業の内容をざっくりとハイライトしつつ、そこで獲得した「見方や考え方」「その考え方が私たちの人生にどう関わるのか?」などを取り上げていき、それが「この授業を学ぶ理由であったこと」を伝えます。いわば「伏線回収」の授業です。
 そこには「この授業を学んできた意味がわかった」「この授業の態度目標の大切さがわかった」などのコメントをほとんどの生徒が残してくれていて、多くの生徒に腹落ちしてもらっているのかなと思います。
 ちなみに、1コマ目の「コンセンサスゲーム」は次の紹介などを参照してください。
 https://www.slideshare.net/chibanba/nasa-251670615
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【 4 】授業に役立つ本 
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 今月は、旅と鉄道の本を紹介します。直接授業作りに役立たなくとも、得られるものが多い本だと思います。
■猪木武徳『地霊を訪ねる もう一つの日本近代史』筑摩書房
①どんな本か
経済学の碩学が、日本を知ることの必要性に気づいてそれを実行した、「ブラタモリ」、「街道をゆく」の猪木版とでもいうエッセイ。訪ねた場所は日本近代科の担い手になった鉱山。そこに出向き、「地霊」の声に耳を傾けた紀行集です。

②どんな内容か
北は北海道の赤平炭鉱から南は鹿児島の永野鉱山跡まで全国の鉱山、それもほとんどが廃坑になっている場所を訪ねた足跡を27の章で紹介しています。
言及されている鉱山は40カ所。有名なところでは、北海道夕張、釜石、佐渡、日立、足尾、別子、岩見、筑豊、三池などが登場します。
目的地に関する歴史、その地に関連する人物、その著書や言行が記されています。人名索引がついていて、その数、数え方が間違えなければ449名に上っています。ちなみに、言及されたベスト3は、福澤諭吉11、松尾芭蕉9、西郷隆盛9でした。
鉱山があるところは温泉ありで、旅の途中で寄った温泉も紹介されていますから、温泉案内にもなる本です。

③どこが役立つか
歴史や公民の教科書で必ず登場する場所、例えば足尾や別子、佐渡などの箇所を読んで、授業のネタとして使うことが出来ます。
経済と関連する箇所では、甲府の金山を紹介した場所では、甲州金とグレシャムの法則という記述があり、悪貨が良貨を駆逐した事例が紹介されています。阿仁鉱山のところで紹介されている鉱夫の相互扶助組織である「友子制度」も現代の労使関係と比較して使える箇所かもしれません。ところどころに挟まれている経済学者や思想家と鉱山の関係を知るのも一興です。
日立鉱山では大煙突の話が登場し、岐阜の神岡鉱山ではイタイイタイ病が言及されています。そこに登場するエピソード、各地の歴史や文化人に関する研究書の紹介からさらに関心を広げることもできます。
また、別子銅山のガイドブックを作った新居浜南高校の生徒の活動なども参考になるでしょう。

④感想
「地霊」という言葉は、鈴木博之『東京の地霊』(ちくま学芸文庫)という本で知りました。たしかにその土地には「地霊」あると感じます。そんな「地霊」を訪ねての旅、楽しみながらフィールドワークをする著者の姿勢に感服。
それぞれの場所にまつわるエピソードとその多様性にも感服。経済学だけでなく、思想、文芸、音楽、そして地理や歴史まで包摂する知の広さはもっと知られて好いのではと思いました。
それにしても、廃業した鉱山の多さを改めて知り、産業の興亡が地方の荒廃、一国の興亡に通じるのではと思うと危機感を持ちました。

■石井幸孝著『国鉄』(中公新書)
①どんな本か
 国鉄の車両部門に技術屋として入社し、国鉄解体後はJR九州の社長をつとめた著者が鉄道150年周年を前にして、戦後の国鉄時代とJRの歴史をたどり、これからの鉄道について述べた本です。

②どんな内容か
 全体は国鉄時代の8章と終章のJRの誕生の全9章からなっています。
 第1章は敗戦直後の鉄道の様子から始ります。
 第2章でGHQの方針から日本国有鉄道という公社として始るいきさつと混乱から再生への道が描かれます。
 第3章は、東海道新幹線開通までの上り坂20年の歴史が扱われています。
 第4章から6章は、著者のフィールドの車両のはなし、国鉄労使の話、貨物の話が扱われます。
 第7章で歴史に戻り、衰退の20年のタイトルで赤字と職場の荒廃が描かれます。
 第8章で国鉄の崩壊と分割民営化のプロセスが紹介されます。
 そして、終章でJRの現状と今後の見通し、鉄道の役割が提唱されています。

③どこが役立つか
 一つは、鉄道というインフラを扱う時の知識が得られるところです。鉄道は旅客・貨物を扱うサービス業であると同時に、インフラ整備のための土木業、車両製造の機械工業という製造部門をもつ複合的な組織であることがここでわかります。
 二つ目は、巨大組織の内側の実態が紹介されていることです。これは第5章の労使の部分で具体的に紹介されます。国鉄の管理システムや人事システムは官僚組織そのものであり、その弱点が浮かび上がります。
 三つ目は、戦後の歴史を国鉄の歴史を通して振り返ることができるところです。教科書に登場する国鉄の事件が内側から描かれています。
 四つ目は、JR各社の課題が取り上げられているところです。特に構造的な問題をかかえる北海道についての著者の考えは札幌部会の皆さんに吟味をしてほしいところです。
 最後に、今後の鉄道の生きる道を描いているところです。著者は新幹線貨物が新しい鉄道の突破口になると主張しています。これも検討に値するテーマです。

④感想
 個人的に鉄道とご縁がかなりあります。我が家の一族には鉄道マンが何人かいました。たたきあげで駅長までなった伯父もいました。そんな点で、親近感をもちました。
 いくつかの学校で鉄道研究会の顧問をやり、生徒と一緒に鉄道の旅をしたのもいい思い出です。国鉄に就職したかったけれど募集がなく、旅行会社につとめ、その後念願のJRにトラバーユした卒業生もいました。
 3月の日経新聞の「私の履歴書」は、この本の著者の石井さんの後任としてJR九州の社長をつとめた唐池恒二氏が書いています。本書と一緒に読むと立体的に鉄道会社の特質と今JRが何に取り組んでいるかがわかります。(新井)
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【 5 】編集後記「みみずのたはこと」
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合同部会で登場した宇沢さんの社会的共通資本を経団連の土倉雅和会長が高く評価しているというインタビュー記事(毎日新聞『エコノミスト』on line 21年9月28日)を読んだことがあり、財界総理とも言われる人が宇沢さんなんだと感心した記憶があります。土倉さんの住友化学は新入社員に社長推薦の本を読ませてチャットで対話をするそうです。どんな組織でもトップが何を読んでいるかが、その組織の質を決めるのかもしれません。
学校という組織ではどうでしょうか。ちょっと点検してみるのもよいかもしれませんね。                                 (新井)
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