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何かいいことがありそうな6月を迎えました。
職員室では、いくつかの新しい風を感じることができる6月です。体育祭の風、教育実習生が持ちこんでくる新鮮な風、部活動で活躍した生徒が生み出す風。
教職員も風を感じるだけでなく「授業で生徒の心を動かす風」を教室に吹き込みたいものです。今月もメルマガ6月号が、新しい風を生み出すヒントになれば幸いです。
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【今月の内容】
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【 1 】最新活動報告
 2024年5月の活動報告です。
【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
 部会の案内、関連団体の活動、ネットワークに関連する情報などを紹介します。
【 3 】授業のヒント…初夏の授業づくりについての一考察
    ※ 篠原総一先生の「捨てネタの効用⑨」は次号に掲載いたします。
【 4 】授業で役立つ本…今月も授業づくりのヒントになる本を2冊紹介します。
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【 1 】最新活動報告・情報紹介
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■「先生のための夏休み経済教室」を開催します。
大阪会場
日時:8月13日(火) 中学校向け  9:30 ~16:00
   8月14日(水) 高等学校向け 9:30 ~16:00 
場所:大阪取引所4階OSEホール(大阪証券取引所ビル)
方法:対面限定、 各日先着70名 (参加費無料)
東京会場
日時:8月19日(月) 中学校向け  9:30 ~16:00
   8月20日(火) 高等学校向け 9:30 ~16:30 
場所:慶應義塾大学三田キャンパス北館ホール
方法:ハイブリッド開催 対面各日先着150名+ウェビナー配信(参加費無料)

6月中旬に申し込みサイトができますので、改めて詳細については
ご案内致しますが是非夏休みの研鑽にご予定ください。

■大阪部会(No.89)を開催しました。
 日時:2024年5月19日(日) 15時00分~17時00分
 会場:同志社大学大阪サテライト+Zoom会議
 内容の概略:28名参加(会場10名、zoom18名)
(1)濵野優貴氏(彦根東高校)による「地域のソーシャルビジネスに取り組むプロジェクト型学習」の報告がありました。
 2022年度に彦根東高校で新設された、Global Science部社会科学班という部活動の活動について、3名の高校生が報告しました。
 第1の報告は「大藪かぶらプロジェクト」と名付けられた活動です。活動の目的は、生産者が減少している彦根の伝統野菜である大藪かぶらの認知度を高めることにありました。活動は、社会福祉協議会や地元NPO、JAの協力を受け、栽培、調理、販売を実践したとのことでした。
 第2の報告は、近江鉄道の彦根駅のにぎわいを高める活動でした。駅での大藪かぶら販売や、待合室のリノベーションを協議・提案したりしたことが報告されました。
 第3の報告は、「彦根麦酒プロジェクト」です。これはビール醸造時に排出される廃棄物のアップサイクルを通じて地域の人と人とをつなげるという活動です。捨てられていた麦芽粕は、パンやピザに生まれ変わったり、再生紙の作成に使われたりしました。
 高校生による3つの報告を受け、濵野氏から、3つのプロジェクトを通して、これまで接点のなかった人々がつながっていくこと、つながった人々が次々と新たなプロジェクトを生み出し、それが地域の活性化を実現することが目指されているとの説明がありました。
 
(2)大塚雅之氏(三国丘高校)による「令和6年度共通テスト経済分野の問題分析」の報  告がありました。
 共通テストの経済分野の問題は、資料を読みとらせたり考えさせたりする良問が多い一方、良問だからこそ点が取りにくい難問になっている可能性があるとの指摘がありました。
 例えば、「政治・経済」の問4は、高校生があまり見ない複数の図表を組み合わせて考えさせるものであり、問題文にある用語を知っておくことや、資料の読み取り能力と思考力が求められる高度な問題であるとのことでした。
 報告では、他にも高校ではほとんど出てこず戸惑うような問題(比較生産費説の機会費用計算)、思考力の差が出る問題(需要と供給のシフトと価格弾力性)などが取り上げられました。
 「政治・経済」の試験は、全体的に思考力重視の問題が多く、1問1答形式で知識を問うような比較的易しい問題がほとんど見られないことで平均点が上がらないと分析結果をまとめていました。
 大阪府では、高校教員の有志が自分の問題を持ち寄り、作問力を高める勉強会を開いていることが披露され、大塚氏作の問題が参考資料として示されました。本報告の冒頭で大塚氏は、共通テストの分析が授業改善やテスト作りに役立つと指摘していましたが、実際に作問された問題を見て工夫された良問であるとの指摘がありました。
(3)中西覚氏(埼玉県鳩山中学校、兵庫教育大学大学院)による「経済の視点から地理  の授業をつくる」の報告がありました。
 中西氏の発表は、地理の授業で、どのような問いを発し、そこからどのような学習をしてきたのか、そこに経済的な視点がどう働いているのかを解説するという流れですすめられました。
 具体的には、地理の学習指導要領B(2)世界の諸地域のところでオセアニアを取り上げた際に、「なぜオーストラリアに羊が多いのか」を最初の問いに設定し、生徒に調べ考え答えさせることから始めたそうです。
 生徒から大陸の気候や塩分の多い水やイギリスとの関係があげられると、それらの答えが妥当かどうかを検討しました。
 この検討では、たとえばイギリスとの貿易関係に注目すると、イギリスとの距離、コスト、効率性など経済の視点が役立ちます。このあと次の問いに移りますが、もし経済の視点を意識するのであれば、貿易相手の変化や輸出品の構成変化を問い、資料を調べる活動と考察を結びつけることができたとのことでした。
 中西氏の報告では、地理の授業の中で経済の視点を意識した問いがいくつか紹介され、それらが「トレードオフ」「機会費用」「コスト」「インセンティブ」「希少性」「効率と公正」の6つの視点のうち、どれを働かせる学習になるのかが解説されました。
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【 2 】定例部会のご案内・情報紹介
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<定例部会のご案内です>(開催順)
■東京部会(No.141)を開催します。
 日時:2024年6月22日(土) 15時00分~17時00分
 場所: 慶應義塾大学三田キャンパス東館オープンラボ+オンライン(Zoom形式)
部会詳細は以下のHPをご覧ください。
https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2024/04/tokyo140flyerHybrid.pdf

大阪(No.90)部会を開催します。
■日時:2024年7月14日(日) 15時00分~17時00分
■場所 : 同志社大学大阪サテライト + オンライン(Zoom形式)
部会詳細は以下のHPをご覧ください。
https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2024/05/Osaka90flyerHybrid.pdf

■金融広報中央委員会 2024年度「先生のための金融教育セミナー」の動画公開
 現役教員の先生方による新規の実践事例動画(4本)のほか、2022・2023年度のセミナーでご好評いただいた金融教育の専門家や現役教員の先生方による動画も視聴できます。
https://www.shiruporuto.jp/education/event/container/kyoin_seminar/2024/online/
 申込み手続きは不要です。どなたでもご都合のよい時間に視聴できます。

■ 第53回授業のネタ研究会(第三次案)既報
◆日時 8月18日(日)9:50~17:00
◆会場 高津ガーデン (大阪上本町下車北東徒歩5分)  
◆参加費 1日2000円  半日1500円 報告者、学生は半額
◆定員 70名(定員になり次第締め切ります)
詳細や申し込み方法は以下をご覧ください。
 https://econ-edu.net/wp-content/uploads/2024/05/53rdNeta2024.8.pdf 

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【 3 】授業のヒント 初夏の授業づくりについての一考察
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  「公共の扉をあけてみると」
               執筆者 金子幹夫(神奈川県立三浦初声高等学校)
1.「公共」の授業は順調ですか?
 新学期が始まり2ヶ月が経とうとしています。「公共」を担当している皆様の教室はどのような状況でしょうか。
 「公共の扉」の学習はどこまですすんでいますか?「公共的な空間を作る私たち」、そして「公共的な空間における人間としての在り方生き方」のあたりまでが中間試験範囲なのかなと想像しています。
 本稿では、6月の時点で明日の「公共」の授業準備をどのようにすすめればよいのかを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。冒頭で結論めいたものを示しますと、「逆算して明日を考える」と表現できると思います。わかりにくい表現なので、ひとつずつ順番に考察をすすめていくことにします。
 ※ ここから先は、メルマガではなくこちらのホームページで続きをご覧下さい。
   
 【主な内容は】 
   2.逆算して明日の授業準備をするとは?
   3.発問によるきっかけづくり
4.いろいろな「扉」の像
(1)生徒が持つ扉のイメージ
(2)教師が持つ扉のイメージ
(3)扉を用いて政治的分野と経済的分野をひとつの絵の中に描く
   5.とりあえずの着地点 そして次に考えること
                         と続きます。
    <アドレス>https://econ-edu.net/2024/05/31/7885/
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【 4 】授業に役立つ本 
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 今月も2冊の本を紹介します。
 1冊目は経済学者小林慶一郎先生の『日本の経済政策』(中公新書2024年)です。2冊目は経営学者岩尾俊兵先生の『世界は経営でできている』(講談社現代新書2024年)です。今月も経済学者による文献を一冊、そして経済学者ではない研究者が経済について書いた文献を一冊紹介します。

■小林慶一郎『日本の経済政策』 中公新書 2024年
① なぜこの本を選んだのか?
  「公共」と「政治・経済」の両科目で取り上げられている「日本経済の歩み」について、経済学の世界でどのような論争があったのかを丁寧に示してくれているということで本書を選びました。

② どのような内容か?
 まえがきを見ると第一文に「過去30年間の日本経済は、なぜこれほどまでに停滞の状態が続いてきたのか」とあります。この一文がこの本を貫く問いであると読み取りました。 
 第1章は「バブル崩壊と不良債権処理の遅れ」です。
 本書は単なる30年間の記述でなく、経済学との関連で歴史を振り返っています。
 経済学は、1990年代初頭の不況対策にどのような考え方を示したのでしょうか。本章はケインズ主義と構造改革論の対立を軸に展開しています。説明の内容もフローとストックという教科書記述の範囲内で示されています。

 もう一つ。1990年代の企業をめぐる動きに関連して、銀行の資金が将来性の低い企業に、採算を度外視して貸し出されていたという興味深い研究が紹介されています。さらに生産性の低い企業の大多数が、その後どうなったのかという驚きの結果が示されていました。
 
 第2章は「長期化するデフレ-論争と政策」です。
 この章では1990年代以降の金融政策について多く記述されています。
 特にデフレ論争が中心課題として取り上げられており、その中で1998年に発表されたクルーグマンの「Japan Trap」が紹介されています。
本文の中に「人々の期待」、「素朴に信じた」、「イメージが広がる」といったという記述がありました。これらから、多くのプレーヤーが、思い込みや先入観をもとに行動しているのではないかと推測できます。
 紹介者が驚いたのは、執筆者の小林慶一郎先生がクルーグマンに送ったメールの内容と、その返信について記述しているところです。詳しくは本文をお読みいただきたいのですが、クルーグマンの返信にありました「toy model」という言葉の向こう側にはどのような意味があるのかを知りたくなりました。
 第3章は「世界金融危機 -マクロ経済政策の世界的変化」です。
 この章は「日本経済の歩み」の教材研究をしようとしている先生におすすめです。
 中南米諸国の累積債務危機がどのようにしておきたのか。サブプライムローンをどう教えたらよいのか。なぜ日本ではバブル崩壊後に金融処理が10年もかかってしまったのか。単なる歴史的事実の記述だけでなく、経済学の視点を加えて説明しています。
 イギリスのエリザベス女王が経済専門家に対して「なぜ誰も信用収縮が迫っているのと気づかなかったのですか?」と質問したシーンが印象的でした。この問いを誰も気づかなかったのでしょうか。それともこのような質問をしてはいけないという空気があったのでしょうか。
 第4章は「格差拡大と長期停滞」です。
 所得格差の拡大はいつ頃からはじまったのでしょうか。そもそも日本は国際的に見て不平等の度合いは高いのでしょうか。ここでは、そんな疑問に答えながら経済学をはじめとした諸学問の考え方を紹介しています。
 この章でもっとも心に残った一文は「社会の根幹に関わる基幹産業が変化すると・・・(略)所得格差が拡大する」というものです。
 第5章は「失われた30年」とは何だったのか-要望と展望」です。
 はじめに30年間を俯瞰します。そしてこの30年間の停滞原因が何であったのかを3点挙げてひとつずつ丁寧に説明しています。
 歳出削減や増税を行うと民間需要はどうなるのかという問いに対して1980年代のデンマークやアイルランドの例を出して説明しています。また、経済成長率を高めるために、低金利を続けるという考え方をどう捉えればよいのかということも示してくれています。
 
 第6章は「日本経済のゆくえ-持続性とフューチャー・デザイン」です。
 経済学には何ができるのか、そして債務比率を安定化させるためには消費税をどうすればいいのかを指摘しています。世代間問題の厚い記述は、教材研究に多くの示唆を与えてくれます。
 
 終章は「縦割り主義から『再帰的思考へ』」です。
 政策を考える人と一般国民は、持っている思考力が異なるのかという問いが提示されています。最後に、エリート主義から対話的思考へというメッセージを具体的に発信しています。

③ どこが役に立つのか?
 歴史的記述と経済学の論争がわかりやすく丁寧な流れで説明されています。
 1990年代以降の経済をどう教えようかと困っている教師が読むと、授業に厚みが増してくるのではないかと思います。所々に出てくる問いは、経済学習だけでなく「公共」や「政治・経済」全般に及ぶものです。しかも高校生が関心を持ちそうな問いも多いので、教材研究がより深まりそうだという点で役に立つと思います。
 
④ 感 想
 メッセージ性が強い本だと、読後に感じました。
 たくさんの人物が登場するのに、読み終わった後に学説史の本だとは感じませんでした。「失われた30年」を克服することができるのかということを考察するための文献だと受け止めました。
 もう一つ。「思い込み」や先入観という言葉が読後に残りました。授業で生徒と対話するときに「本当にそうなのかな?」と思う気持ちを大切にしなければならないことを学べたと思います。

■岩尾俊兵『世界は経営でできている』講談社現代新書2024年
① なぜこの本を選んだのか?
 東京大学初の経営学博士が書いた文献ということで、いったいどのようなことが書かれているのだろうか。これが紹介者が本書を手に取った最初の理由です。読み進めていくと、これは授業者として読むこともできるし、職業人として、社会人として読むこともできると感じました。メルマガ読者の皆様が、いろいろな立ち位置から解釈できるのではないかと思い、本書を選びました。

② どのような内容か?
 本書の主張は明快です。
 経営するのは企業だけではないということ。豊かな共同体を創るのが経営の目的であること。すべての人が人生を経営していること。すべての人が経営概念を転換すれば、日本も世界ももう一度豊になれるということです。
 目次構成は次のとおりです。
はじめに:日常は経営でできている
1.貧乏は経営でできている
2.家庭は経営でできている
3.恋愛は経営でできている
4.勉強は経営でできている
5.虚栄は経営でできている
6.心労は経営でできている
7.就活は経営でできている
8.仕事は経営でできている
9.憤怒は経営でできている
10.健康は経営でできている
11.孤独は経営でできている
12.老後は経営でできている
13.芸術は経営でできている
14.科学は経営でできている
15.歴史は経営でできている
おわりに:人生は経営でできている
 「生徒達は本当に授業内容を理解してくれているのかな?」と授業をしていて不安な先生は第4章がおすすめです。経営学者が見た「知識」とはどのような部分で構成されているのかが示されています。はじめに何を教えることが大切なのか。次に教えることは何かが示されています。「生徒の心に知識を伝えるというのはこういうことなのか」というメッセージを受け止めることができます。これも経営学がもつ考え方のようです。
 「生徒が何を考えているのかわからない」と日々の生徒指導で困っている先生は第5章を読んでみてはいかがでしょうか。この章は生徒の心を経営学的に見るとどう解釈することができるのかという角度で読むことができます。経営学の視点から、虚勢を張って他人と比較して優位に立ちたいという人をどう解釈することができるのかが書かれています。
 「職員室で書類整理に追われていて、いったい教師の仕事って何なのか?」との思いを抱いている先生は第8章がおすすめです。経営学者が見た「仕事」とは何かが書かれています。この章では、なぜ人は仕事について愚痴をこぼすのか。仕事を楽しく、やりがいの
あるものに変えるために経営学はどのようなアドバイスを送るのかについて書かれています。後半の、なぜ職階の多い職場の上層部には無能な人が多いのか、という疑問に経営学の視点からスパッと答えているところは痛快でした。
 
 「自分がめざしている教育の理想と周囲がめざしている教育像にずれを感じて悩んでいる」という先生は第14章がおすすめです。本章は「合理を追求するはずの科学は、不合理で非科学的な悲喜劇で満ち溢れている」という一文ではじまっています。科学の進歩が停滞してしまう背景が経営学の視点で描かれています。
 本書を読み終えて、紹介者は「全体と部分」、「目的と手段」という用語が一冊を貫く中心語なのかなと読み取りました。経営学者の書いた本ですが、会社に関する記述はほとんどありません。私たちの生活に関連する話題がほとんどです。
 授業者が明日の授業をどう展開するのか?と困っているとき、その授業を「全体と部分」、「目的と手段」という言葉で捉え直してみてはいかがでしょうか。本書のタイトルを借りるならば「授業は経営でできてる」のかもしれません。

③ どこが役に立つのか?
 紹介者は本書を「こういうことを知りたいから読む」というよりは、「何が書いてあるのだろう?」と無抵抗に読み進めていきました。すると、各章からいろいろな問いが湧き上がってきました。
 「あっ、これは自分の日常生活に関連しているのかな」、「あっ、これは日々の教材研究を妨げている要因なのかな」、「あっ職員室で多忙なのは目的と手段を取り違えているからなのかな」という問いです。
 本書は、教師が日々の実践で可視化できていない問いを浮かび上がらせる力をもった文献だという点で役に立つと受け止めました。

④ 感 想
 本書の一番最後に示された「人間とは、価値創造によって共同体全体の幸せを実現する『経営人』なのである」という文で、経営学に関する見方がガラッと変わりました。高校生に「経済学と経営学は何が違うの?」ときかれたときの回答を考え直さなくてはいけないなと感じています。
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【 5 】編集後記「~自己観照~」
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 編集者が通勤している道にキャベツ畑があります。今は春キャベツのシーズンを終えようとしているところです。このキャベツ畑をよく見ると、畑の土を盛り上げた畝と畝との間にもキャベツが見えるのです。農業関係者に聞いたところ、生産量を増やすために畝と畝の間にもキャベツを植える農家さんがいるということでした。ただし、手間がかかったり、味の調整が必要になったりとたいへんな部分もあるとのことでした。生産量、労働量、味、高齢化そして価格と、畑の写真を一枚撮ることで面白そうな経済学習ができるのかな。そんな予感がしています。(金子幹夫)
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